トコトンつきあってやるぜ 2000_02_8
トコトンつきあってやるぜ 2000_02_8
よし、トコトンつきあってやるぜ。
私は自転車をこいでいるヒロインをいろいろな角度からイメージしてみた。
何とも奇遇なことに、「ROOMMAINA#203」から立て続けにイメージするという
楽しさを知ることになったのだ。
私はしばしばエロゲーをなんと表記するか戸惑う。
エロゲーはやはりエロゲーなのだが、これをエロゲー呼んでは可哀想かな、と
思うことが希にある。
コンシューマーが面白くてたまらない今となっては、プレイする本数も少なく
なっており、そういうエロゲーは年に1本あるかないかだが・・・。
エロゲーをエロゲーと書いてしまっては自虐的過ぎて、かえって美しくないの
ではないかと思ったりもするが、最終的にはいつも『エロゲー』に落ち着く。
エロゲーをエロゲーと認められないよりはマシだといつも思うからだ。
その点では、すっぱり竹を割ったようなこの「GREEN 〜秋空のスクリーン〜」
は、私を安心させる。
アイデンティティとの戦いを強いられることないエロゲーなのだ。
さて・・、本題からはずれてしまった。
私はイメージすることの楽しさを書きたい。
この「GREEN 〜秋空のスクリーン〜」の中で私は選ばなければならなかった。
画面に映らない幽霊の少年とヒロインが自転車に乗りながら会話するシーンを、
どの方向からどうやって撮影するか。
答えは3択であった。
1.自転車かごにカメラを固定して撮影する。
2.ヒロインに平行して自転車を走らせながら撮影する。
3.カメラに向かって遠方から走ってくるヒロインを望遠で撮影する。
実はこの選択の後、絵コンテ(注1)のようなものが出てきて、これで良いで
すかという確認が入るのだが、私はそれを知らなかった。
私は間違えることは出来ないと思って、真剣に考えてみた。
どれがもっとも美しいか検討するために、実際にロケ場所を頭の中に作り、そ
こに自転車に乗せたヒロインを置く。
そして、1〜3の方法で撮影したとき、どう見えるかイメージしてみたのだ。
私は2番しかないと思った。
1番は画像がアップ過ぎるし、3番はからだ全体が収まるものの躍動感がない
だろう。
2番なら、流れていく緑樹を背景に、美しいカットが撮れると確信したのだ。
このとき私はすごく楽しいな、と感じた。
それはまさしくクリエイターの喜びであっただろう。
イメージするということは、自分だけの何ものかを作り出すという他では味わ
うことの出来ない行為なのだ。
私はこのゲームの仕組みを知った後も、敢えてイメージし続けた。
映像に音入れをするときも、試し聴きする前にイメージしてみた。
このゲームの要求するものに、トコトンつきあってやろうと思ったのだ。
そしてそれは私に至福の時をもたらした。(音入れはいささか疲れたが)
実をいえば、前述したシーンは部長(注2)にダメだしを喰らった。
そのシーンだけではなく、全体の6割は撮影の技術的な問題によって、もしく
は部長のフィーリングによって却下されたのだ。
やや納得行かない部分もあった。
それでもイメージすることによって、なんだか随分と楽しませてもらったよう
な気がする。
ゲームって奴は、こんな楽しみまで生み出すことが出来るんだ。
私はエロ抜きだったら、これがゲームとして成立するかどうか考え始めている。
本来はいけないことなのだが・・・。
(注1)撮影するシーンを前もって描いておくもの。ストーリーボード?とか
なんとかいっただろうか。不覚にも忘れてしまった。
(注2)映画部の部長。
映画への造詣が深く、主人公からの尊敬を一身に集める。
意外と劇中ではウケをとる。(まじめな顔して)