娯楽としてのゲームは他のゲームより何か得でなければならない。 でなければ、娯楽として選ばれないからね。 もっとも、実際に得をしていなくても得をしたような気になればいい、とも考えられる。 そこで、いったんプレイヤーの気分を下げておいて、達成した時のギャップを大きくする、という手法がよく使われてきた。 しかしながら、我々のように擦れたゲーマーはそれを見抜いて、全然得じゃないじゃん!と思ってしまうのである。 そうなると、創り手はまた新しい手を考えてくる。 得してないのに得していると感じる方法を。 GamePassのラインナップを見渡した時に、ぱっと目につくタイトルがあった。 『戦場のフーガ』がそれだ。 二足歩行だけど、人間が犬猫みたいな顔しているヤツ。 昔『テイルコンチェルト』とかまあまあ好きだったなあ、と思い出してやってみた。 ゲームとしてはどうということはない。 子供たちが戦車に乗って敵と戦うだけ。 なんと呼ぶのかわからないが、レールに沿ってストーリー進行する、いうなればレールRPG。 アドベンチャーパートで友情度を上げる点に多少特徴はあるが、戦闘はいたって平凡。 同じことの繰り返しで、ただただ時間を潰すゲーム、といった印象だった。 ただし、このゲームには一つだけ、特筆すべき工夫があるの。 この戦車には宇宙戦艦ヤマトでいうところの波動砲のような武器があり、それを発動すれば楽勝できる。 しかし、そのためには仲間一人の命が必要になるのである。 そんなのイヤでしょ、普通。 使えない。 でも、最初のチュートリアルで強制的に使わせるのだ。 プレイヤーに誰の命を差し出すか、無理矢理選ばせるのである。 これは嫌だったな。 ここでプレイヤーに嫌な思いをさせておいてから時間を巻き戻す。 そうするとプレイヤーは、ただ普通にクリアしただけなのに、仲間の命を失わずに済んだ、と高い満足を得られるのである。 まだ誰の命も失ったことないのにね。 これは上手いやり方だった。 最初は酷いと思ったが。 最終的にハッピーエンドにたどり着いたら、めちゃめちゃ嬉しかったよ。 もっとも、そう何回も使える手ではないだろう。 もうすでに続編の発売が決まっているらしいけど、おんなじ事をもう一回やられたら、同程度の満足を得ることはできないかもね。 <余談> このゲーム、あるキャラの友情度を上げておかないとトゥルーエンドにたどり着けない。 結局2周やる羽目になった。 パラメーターを引き継げるから簡単だけど、2周はきつかったな。 |