花と太陽と雨と

嫉妬 2002_03_18〜19

 

このゲームは一体何を言わんとしているのか?
もし彼が仮に、「このゲームには隠されたメッセージがあるんですよ」などと主張したとしても、私は一向に耳を傾けるつもりはない。
「彼」というのは即ち「須田剛一」のことであり、「このゲーム」というのはPS2で発売された『花と太陽と雨と』のことである。
もっとも私は「彼」と呼べるほど彼のことを知っているわけではないのだが。
マニュアルを読んで、彼が「ファイヤープロレスリング」シリーズに携わっていたことをはじめて知ったぐらいである。

この『花と太陽と雨と』というゲームを簡単に説明するのは難しい。
なぜならば、話がメチャメチャだからである。
本質を抜きにして形式だけ書けば、謎解きゲームということになるだろう。
主人公は「探し屋」という奇妙な職業なのだが・・・。

『花と太陽と雨と』というゲームは、見るからにテキストとBGMがメインだ。
「見るからに」というからには、見るからにへなちょこCGなのである。(味わいはある)
見た目を捨てにかかっていることは明らかであった。

ではテキストはどうかというと、これは面白かった。
勝手なことを喋りまくる登場人物達。
マニュアルのどこかに書いてあったのだが、ディレクター「須田剛一」はまさに「テキストクラッシャー」だったのだ。
はじめは頭がどこかおかしいのではないかと思った。

話を進めていくうち、私は「ああ、なるほど」と感じることが多くなっていった。
局面局面では彼の言うことは何となくわかるような気がし始めたのである。
しかし、この『花と太陽と雨と』を貫くテーマがあるかというと、私はどうも疑わしいな、とも思った。
これは思うままに徒然と書いたものなのではないか、と。
それを謎解きで接着しただけ。

そう思うと、段々と私は憎らしくなってきたのである、「須田剛一」という人間が。
こんな勝手気ままなモノを商業レベルで創ってくるなんて・・・。
ゲームの開発費がかさむ昨今、普通こんなモノは作らせてもらえないはずだ。
なんて羨ましい!
私も創らせて欲しい!
いや、私は最後まできちんとゲームを創ったことが一度もないのだが。

私は、彼が「『花と太陽と雨と』というゲームは「人間というものはいつも刹那なんだ」というメッセージなんだ」などと主張したとしても、まったく耳を貸す気はない。
なぜならば、私は彼に嫉妬しているからである。


<補足>

実はこのゲーム、自分の好きなBGMをプレイヤーに聴かせたいだけじゃないのか?という疑惑もあります。
それもまた良し。


戻る