無限航路

主人公が大きくなって宇宙は狭くなる 2009_07_17

 

数学的には、∞をどれほど大きな有限数で割っても∞である。
無限というのはそういう風に定義された概念なのだ。
一説によると宇宙は有限だそうだけど、宇宙に無限のイメージを当てはめるのは、小さな人間のスケールからすればそんなに不思議ではないだろう。
しかし、である。
人間のスケールが大きくなってしまったら、さてどうか。
それは無限とは感じられないかもしれない。

特にこれといって遊びたいゲームもなかったので、タイトルのインパクトでDSの『無限航路』をプレイし始めた。
これは驚いたな、悪い意味で。
オープニングから、これほどやる気がそそられないゲームも珍しい。
このことについてちょっと書いてみたい。

このゲームの主人公は、とある惑星の若者である。
主人公は父親と同じ宇宙の冒険者?になりたくて、宇宙への運び屋を手配した。
運び賃は自分で働いて貯めたもののようだ。
まず思うのは、宇宙へ行くのってえらい安いな、ということである。
いやしかし、まだ驚くところじゃない。
その後がもっと凄い。

主人公の生まれた星では宇宙に出ていくのを領主が禁止している、という設定になっている。
それはイイにしても、宇宙へ出た主人公をわざわざ領主自らが捕まえようと追ってくるのは一体どういう事か。
戦艦3隻も引き連れて。
領民一人捕まえるのに、一体どれだけコストを掛けたら気が済むのか?
おまけに主人公の彼女を人質にまでとって。
そこれまでされると、相対的に主人公のステータスが上がっているように感じるな。

しかも、主人公はいきなり巡洋艦を購入して、領主をやっつけてしまう。
しかしまた簡単に巡洋艦買ったな、と思わざるを得ない。
星一つを支配する領主に勝てる巡洋艦を買っちゃうって凄いだろ。

領主をやっつけるところまでやって、スタートから45分。
主人公が大きくなって宇宙は狭くなる。
どっかで聞いたようなフレーズが頭に浮かんだ。
宇宙ってつまんない。

せめて最初ぐらいは主人公を小さく描かなきゃ駄目なんじゃないか。
「銀河鉄道999」のオープニングなんか見るとよくわかる。
悲惨なところからスタートしないと、宇宙に無限の可能性が広がっているようには感じない。
RPGは最初と最後だけちゃんと出来てればいい、と私は思うのだが、最初がこれぐらいまずいとちょっと進められないな。
スタートから45分でこれだけやる気をなくしたのは、『ドラクエ7』以来のことである。



<追加 2009_07_18>
書き出しは以下のような式をイメージして書いた。
{宇宙}/{主人公}={プレイヤーが感じる宇宙の大きさ}
あくまで観念としての式であって、特に意味があるワケじゃない。


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