とにかく速く作らなきゃならないときがある。 ゲーム機の立ち上げ時期なんかがそうだ。 決算期に間に合うように、とか、コストを下げるために、といった事情を考慮 する必要はないが、立ち上げの時は、そのマシンの可能性を見せるだけで良い 事もあると思う。 だって、ユーザーも早く触ってみたいはずだし。 じゃあ、速く作るためにどうしたらいいのだろうか? その1つのアプローチとして、「新機世界Evolution」の手法は正しかったと思 う。 このDC初のRPGである、「新機世界Evolution」というゲームの印象は薄い。 プレイヤーに強い目的意識を持たせるゲームではなかった。 何気にプレイして、何気に終わった、というのが正直な感想である。 ただ、特に作り込んでいる、という感じがないのに、快適にプレイできた。 先行読込などを使っているそぶりがない。(アクセス音から判断) それなのに快適だ。 それはハードウェアの進歩によるところが大きいのだろうし、そういった点を 感じさせるのも、立ち上げ時のソフトに要求されるところだと思う。 しかし、RPGというのは調整に時間がかかる。 ここをどう縮めるかが、開発期間短縮の鍵になったはずだ。 結論からいうと、状況をブチブチに切ることで、調整を楽にしている。 プレイが長くなればなるほど、プレイヤーの個体差が出てくるので、調整は難 しくなる。 そこで、1ダンジョンごとに仕切り直している。 どのダンジョンから入っても良い。 前のダンジョンの難易度を引き継がない。 育てていないキャラクターも、主人公と同程度に成長させる。 つまり、プレイヤーの状況を想定しやすくしている、といえると思う。 それ故に調整は楽になる。 きっとこれは偶然ではなく、「速く作らなければならない」という必然が生ん だのだろう。 私は、このゲームを終えて、それなりに満足した。 もちろん1年後には、数多くのゲーム達に埋もれてしまうかもしれない。 それでも「速く作らなければならない」という中で、これぐらいの物が作れる っていうことは、すごいことだ。 とりあえず、「可能性を示す」という役割は果たせたのではないだろうか? DCにとっても、クリエイターにとっても。 |