追放選挙、PSVita版

ただひたすら続く苦行 2017_05_24-25

 

テレビ(ビデオ)ゲームとは得をするものである、と私はいつも書いている。
もし得をしなくてもいいのであれば、それこそ外でも走ってこればいいのである。
わざわざお金を払って娯楽として自分に負荷を課すからには、何かしら得をしなければならない。
これは必要条件と言ってもいいし、結果から導き出された定義と考えてもいい。
一口に得するといっても、方法にはいろいろある。
ただ走るだけであっても健康にいいと思えば、そこには得する要素があるわけで、もちろんテレビゲームにも得をする方法がいろいろあるわけだ。
しかし、予算的にCGにお金をかけたり、画面効果を派手にしたり、といった手段を執ることが出来ず、RPGのようなパラメーターも存在しない、エロもない、となると残された手段は限られてくる。
アドベンチャーゲームなんかだと、もうシナリオで何か得しているように感じられる価値付けをしてやるほかないだろう。
それすらもなかったら、そこにあるのはただの苦行である。

ところで、遊びたいゲームがホントにない。
やむを得ず検討に検討を重ねた結果、PSVitaではこれしかないと思ったのが『追放選挙』。
ダンガンロンパの真似なら真似でいいじゃん。
面白ければ、の話だが。

ところが、やってみたらビックリ。
思ってたのと全然違ってた。
説明するのが面倒なので詳しくは書かないが、主人公は積極的に他の9人を殺そうとするのである。
生き残るために渋々他の人を追放するならまだしも、最初に妹が追放された逆恨みで、身内以外全員を殺そうとするのだ。
集められた12人は全員何かしら脛に傷持つ連中なのだが、私の見たところ、殺されて当然と言えるのは二人だけだな。
こんな主人公には全く同意できない。
このゲームをやって得られる成果に何の得も感じないよ、私は。
これがまたイヤらしいことに、選挙の合間にこれから追放する人たちと話して回って、いい人アピールとかするんだよね、この主人公。
騙すためにさ。
もう読むのがイヤでイヤで、全然進まなかった。

追放選挙自体はほとんどが選択肢を数回選ぶだけの内容で、特にこれといって面白いとは思えない。
選択に時間制限があるせいで、ロジックを組み立てる余裕もないしね。
まあ、失敗したらコンティニューするだけ。
誰から追放するか、が自由に選べるところが目新しいといえばそうなんだが、これも実はどうやってもあんまり話が変化しないように作ってあるので、あんまりいい印象はない。
ホントにラスト30分ぐらいまで、何もいいところがなかった。

ダンガンロンパに似てると思わせて、実は『9人9時間9の扉』みたいな展開になるのかな、と密かに期待していたのが、それもなかった。
隠されていた秘密は実につまらない話だったな。
よくあるループモノよりは現実的だが、余りにも強引な設定でどうにもピンとこない。

最後の最後は、あれで良かったと思うけどね。
おそらくプレイヤーが一番思い入れを持てるのは、管理者であるアリスだろうから、あれがああなって、まあ納得した。
このゲームを好意的に解釈するとすれば、ほぼ全部が最後のための前振りだったというしかないだろう。
とするならば、前振りが長すぎるわな。
30分のために、十数時間もの苦行に耐えなければならないという不条理。
二時間程度の映画ならいいかもしれんけどね。
映画なら、主人公=自分とは必ずしも考えないし、2時間で終わってくれれば、良かったと思えるかも。
でも、ゲームでやるのは勘弁して欲しい。



<余談 2017_06_01>
Huluに反省を促すべく契約を解除したところ、狙い澄ましたかのようにNetflixから2回目になる無料体験のお誘いメールが来た。
Huluの騒動につけ込んでシェア拡大を狙ってるのかな?
折角だから久々にログインしてラインナップを調べてみたんだが、バラエティ系の動画があんまりないんだな、Netflixって。
映画は一杯あるのに。
ネット対戦の待ち時間にはバラエティの方が向いてるんだけど。
真面目に観なくていいから。
仕方なく、『伊集院光のばらえてぃー』って番組を観てたんだが、第5話に「追放選挙」って単語が出てきたよ。
ドミノの完成を妨げる裏切り者を推測して追放する件で。
「追放選挙」という発想自体は、別に新しくはないんだな。
これは5年前の作品だから。
もっとも中身は全然違うけどね。


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