ゲームではないらしい

ゲームではないらしい 2003_09_15

 

親戚の子に『evio(エヴィオ)』を買ってやった。
『evio』とは、トミーから発売されたオモチャの電子バイオリンのことである。
ちゃんとした見栄えの割には安くて、わずか7千円だった。

私は音楽に特に興味はないのだが、姪にあげてみたところ、自分も欲しくなってしまった。
ACアダプターを付けても8千数百円で買えるということで、自分用にもう一個買った次第である。

『evio』について少しだけ説明しておく。
『evio』には弦がなくて、センサー上に溝(反射板?)のついた弓を行き来させることで演奏する。
センサーが溝の進行方向を読み取っているようだ。
弦がないので、あらかじめ決まった音が鳴る。
プレイヤーがやることは、弓を動かすタイミングを合わせることと、弓を引く長さとスピードを調節することである。
弓を早く動かすと強い音になり、ゆっくり動かすと弱い音になるのだ。

これは一種のゲームなんだろう、と私は思っていた。(だから買った)
実際テレビ画面に画像を出力して、タイミングを合わせるゲームとしてプレイできる。
ファミコンに毛が生えた程度の画像ではあるが。

ところが、これは困った。
全然面白くなかったのである。
評価点数を上げるためにテレビ画面をじっと見つめながらプレイしていても、全然楽しくない。
なんでなんだろう?
『太鼓の達人』とかやったことがないので比較も出来ない。
面白くないと感じることの理由が自分でもよくわからないのである。

ただ、一つわかったことがあって、この『evio』は画面を見ながらやるとつまらないが、スピーカーモードでやると結構楽しい。
テレビに映さなくても、本体のスピーカーから音が出るのである。
タイミングに拘らないで、自分のセンスで弾いてみるほうが楽しかった。

多分このオモチャ、ゲームじゃないんだね。
楽器なんだ、おそらく。
弾き方次第で感情表現すら出来るんじゃないかという気がした。
自分の弾き方を楽しむということに比べると、決められたタイミング通りに弾くなんてのは、ひどくつまらないことのように思える。

そう考えると、また別の問題が出てくる。
テレビ画面を見ないで自分なりに弾く、ということは、自分がその曲を完璧に知っていなければならない。
自分の知っている曲がないと、弾きようがないのである。
初期状態で『evio』に6曲入っているのだが、私は『少年時代』以外の曲を弾くことが出来なかった。
拡張カセットを買おうにも、拡張カセットの中にも知っている曲がほとんどない有様なのである。

メモリーカードに自分の好きな曲をダウンロードできるようになると、この『evio』はブレイクするんじゃないかな、という気がする。
内蔵スピーカーの音質を上げたり、操作性をよくしたり、もう少しバージョンアップを重ねていく必要はあると思うが。

結構惹かれるものはあったね、この『evio』というやつは。
多分どこまで行っても、ゲームではないんだろうけど。
いや、楽器を弾くということも、ある種のゲームなのかな?



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