ロストオデッセイ_2

暖かな不死 2008_01_21

 

不老不死を取り扱った小説を私は読んだことがないけど、映画や漫画では割とよく見かける。
不老不死というのはテーマとして考えると、どうも死をテーマにしたものの亜流だという感じがするな。
死なない者の側から死ぬ者を見ているのだから、結局死をテーマにしたものとさほど変わりはないように思えるのだ。
創作する側の意識としても、不死は死から発想するものだろう。
ただ大切な人を常に見送っていく側に立つので、不老不死の話はどうしても暗くなりがちである。
暖かいエンディングというのは見たことがなかった。
死をテーマにしながら、暖かいエンディングというのはいくらでもあったのだが。
今回はエンディングについて書かなければならないので、今後『ロストオデッセイ』をプレイするつもりのある方は読んではいけません。

『ロストオデッセイ』には5人の不死の者が登場する。
彼らはとある事情で不死なのだが、その事情は最後まで分かったような分からないような感じである。
もしかすると不老不死なのではなく、時間の流れ方がゆっくりなだけかもしれないと思える節もあるのだが、まあ、それはどっちでもイイのだろう。
とにかくこの物語の時間スケールでは不老不死なのだ。

人間って歳を取ると、段々心が固くなってくる。
弾力が無くなってくるんだな。
漫画『サザンアイズ』なんかだと、不死の者の精神が歳を取ると新しい人格が生まれてくるけど、ああいう設定の方がしっくり来る。
自分の実感としても、もうどんどん心が硬化しているのを感じてきている。
人間適当に死ななきゃならんのだろうと自分でも思うな。

ところが、『ロストオデッセイ』の主人公達はとてもフレッシュ。
おまえ等ホントに千年生きてきたの?っ感じ。
千年も生きてきて、いまさら世界征服とか考えるなよ。
もっと枯れようぜ、と言いたくなった。

でもね、エンディングがこれほど暖かいとはちょっと想像がつかなかったな。
不老不死には珍しいポジティブさ。
いつか子供達や旦那の最後を看取らなきゃならないことは分かっているんだけど、それも受け入れましょうという話になっているのである。
死にたいなんて話はどこにもない。
これはなかなか珍しいんじゃないか。

私は結構好きだな、このエンディング。
せっかく長い時間プレイしてきたんだから、やはりハッピーエンドがイイ。
見終えたときには、さすがにヒゲ親父、だてにヒゲは生やしてない、とワケの分からない感想が口から漏れた。


戻る