以前、カメラの講義をお手伝いしたことがあった。 某大手光学機器メーカーが社会貢献と学生勧誘を兼ねて開催していたもので、私は頼まれて手伝っていただけである。 カメラが好きなわけでも得意なわけでもない。 ただ、結構偉い方が講師をやっていて、お世話する立場上、講義の前などには世間話の一つもしないわけにはいかなかった。 話していて驚いたのは、異業種であっても任天堂がDSでやって見せたことに影響を受けていたことである。 お客さんを待ってるだけじゃダメだ、任天堂みたいにお客さんを育てなきゃ、需要を自分たちで創らなきゃ、って言ってたよ。 それだけ任天堂がDSでやったことは凄かったんだろう。 そして3DS時代の今になっても、任天堂はゲーム界の教育者たらんとしている。 『スーパーマリオ3Dランド』を好意的に捉えるにはそう考えるしかないのではないか。 まずプレイして驚くのは、異様に簡単なこと。 ステージが短いのは大歓迎なんだが、表ステージはかなり先に進んでもほとんど手応えはない。 スターメダルも分かりやすーい所においてあるしな。 おまけに、何回か死ぬと無敵アイテムが出てくるんだよ。 私は経験しなかったが、もっと死ぬとステージが飛ばせるようになるんだって。 おそらく、とにもかくにもクリアして欲しかったんだろう。 まず成功体験を、と考えたのではないか。 3Dに対する不安な気持ちを取り除きたい、といった狙いもあるいはあったのかもしれない。 ゲームが3D処理されていることと3Dに見えることは直接関係ないし、むしろ3Dに見える方が奥行き情報が与えられて相対的に簡単になるはずなのだが、そんなこと初心者には分からないしな。 なんとなく難しそう、出来なさそう、という懸念を時間をかけて払拭する必要があったんじゃないか。 視点もよく考えられており、一つ次元を落とす意識が感じられた。 演出上、奥行きを感じさせることを優先して視点を決定した場合は難易度を落とす、などの心配りも行き届いていると思う。 でも、そこで終わらないで、ステップアップさせていくのが任天堂の素晴らしいところだな。 裏ステージからは、繰り返しプレイすることで喜びが得られるんだってことを教えてくれる。 3Dがわかりにくいったって、どっちから出てくるかとか、足場がどこにあるか覚えてしまえば、そんなに難しい事じゃないんだよね。 覚えることには、それほど能力差は出ない。 繰り返しプレイすることで、少しずつ出来るようになっていって、それが凄く楽しいって知ってしまえば止められなくなる。 更に所々に時間制限をかけて、プレイを固めていく楽しさも教えてくれるな。 こういう順番で敵を踏んで、ここで飛んで、ここでかわすって自分で決めて、それをその通りに実践してみる楽しさ。 きっちりプレイするってホントに楽しいんだよ。 裏ステージに入ってくると、ホントに面白いなって思える。 難易度でプレイヤーを分けないで、下からプレイヤーを成長させるように創ってあるところが、任天堂の凄いところだと私は思うな。 まさにこれが任天堂の真骨頂だ。 最後の方はかなり難しいから、これ一本プレイしたら、初心者でも相当な経験を積んだことになるだろう。 ただし、タヌキの位置づけはよく判らなかったな。 初心者への救済措置のつもりなのか。 タヌキがあると、極端に楽になるステージが多くて、バランスを失しているように感じることがあった。 面倒だから、タヌキを失ったらリセットしちゃえってことも何回かやったな、正直言うと。 タヌキが使えるステージと使えないステージを分けたほうが、きっちりバランス取り出来るような気がするんだが・・・。 |