懐かしい匂いのするゲームをやると昔を思い出す。 昔のアドベンチャーゲームには大抵ダミーが入っていた。 我々がダミーと呼んでいたのは、謎解きに使わないアイテムのことである。 アイテムって実は用途が限定されることが多く、アイテムを発見した時点で残されたゲームは単語当てだけになってしまうので、使わないアイテムを入れてプレイヤーを混乱させるように創られていたのだ。 でもそれだけじゃない。 ダミーがあると想像力が刺激されて面白く感じられることがあるんだよね。 これをこうしたら、こうなるかな?ってイメージするのがアドベンチャーゲームの醍醐味だったからね。 しかし、今ではダミーは入ってないものが多い。 ダミーがあると、組み合わせが膨大になったり、限定が外れたりで、解けない人が出てくるからだろう。 私がこれを書くきっかけになった『@SIMPLE DLシリーズVol.1 THE 密室からの脱出 〜不思議なクマドナルバーガー編〜』のなかでも、厳密に言えばダミーは一つも出てこない。 にもかかわらず、ダミーの話をなぜ書こうと思ったのかをこれから説明するつもりである。 例によってゲームの説明はしないので、興味があったらご自分で調べていただきたい。 このゲーム、出てくるアイテムは全部必要なものなんだが、一回だけダミーに出会った。 よくよく考えるとダミーではないのだが、クリアしたときはダミーだと思ったのである。 発売されたばかりだから書かないほうがいいのかな。 似たようなモノが2個出てくる場面があったのだ。 おそらく1個はヒントのために置いてあるんだけど、用途が同じだからダミーと同じ役割を果たしちゃうんだな。 片っぽを見つけると、気持ちがそっちに惹き付けられちゃってどうしようもない。 これをこうしたら、こうなるだろ、そしたら解けるじゃん!って思っちゃうでしょ。 そう思っちゃうから、もう一方に気づかなくて、かなり苦しんだ。 でも、そうやって考えているときはそれはそれで楽しい。 ダミーにはダミーの楽しさがあるんだよなって、私は改めて感じていた。 私みたいに昔からアドベンチャーゲームやってきた人間にはなかなか面白い作品だったように思う、『@SIMPLE DLシリーズVol.1 THE 密室からの脱出 〜不思議なクマドナルバーガー編〜』は。 意味もなく閉じ込められたり、結局理由が分からなかったりするのも、昔っぽいな。 ただし、ダミーがないんで逆にプレイしづらいところもあったような気がする。 ダミーを使わないって事は、アイテムを発見するところとか、フラグを立てるところにゲームを入れるしかないわけで、非常に窮屈な印象があった。 ダミーを入れることで、トータルの負荷を再調整すれば、もうちょっと遊びやすくなるのかなと思う。 ゲームの質としても、その方がよりプレイヤーを誇らしい気持ちにさせてくれるんじゃないか。 おっさんの戯言かもしれないが。 |