さすが「神宮寺」だな、と思いながらプレイしてきた。 人は誰もが心に壁を持っている。 人間は所詮一人なのだと、自分を冷ややかに見つめるもう一人の自分がいる。 そんな話を描いても許されるのは、15年間その世界を構築し続けてきた「探偵 神宮寺三郎」シリーズだけなんじゃないか。 最新作の『探偵 神宮寺三郎 Innocent Black』をプレイして、「探偵 神宮寺三郎」がゲームの世界で確固たる地位を占めているんだなあと感じていた。 シナリオ自体も、死亡した失踪人の身辺調査から始まって、どんどん大きな事件へとつながっていく過程が私の心を捉えて離さなかった。 遂にあの女性があんなことになって、「ああー、いったいどうなるんだあー!!」とドキドキワクワクして迎えた暗殺者との本格的対面。 まさかこんな事を書く羽目になろうとは・・・。 これから私が書こうとしているのは、極めてネガティブな話である。 暗殺者と対面してからの神宮寺三郎は途端におかしくなった。 正常な思考が出来ないのである。 なぜベストな選択肢を模索しない? ほかにやるべき事はいっぱいあるだろう! なぜちゃんと伝えない? ツッパってる場合じゃねえだろ! 事の重大さをきちんと認識させろよ! なんで独りで背負い込むんだ? 絶対勝てないからそういう状況になったんだろ!? おそらく、登場した暗殺者がスーパーマンみたいな奴で、常軌を逸しているため話がおかしくなったのだろう。 神宮寺だけではなく、ヤクザの皆さんも押し並べておかしくなってる。 そもそもこんなキャラは「神宮寺」には相応しくないと私は思うのだが、それにしたって「みんなもうちょっとちゃんとやろうよ」と登場人物の皆さんには言いたい。 あまつさえ、敢えて選択を間違えることで、シナリオを思いのままに操っていこうとする作者の姿勢には賛成できるはずもない。 登場人物は常にベストを尽くせ。 その上で不可避なシナリオを構成せよ。 ラスト2時間は笑いっぱなし。 だっておかしいんだもん。 最後の決闘に至っては思わず「もう外出なくてイイから!」って突っ込まずにはいられなかった。 あんなのがハードボイルドか? 私は違うと思うけど。 今回の『Innocent Black』から製作がワークジャムになって、『クロス探偵物語』と同じ人が書いているらしいんだけど、ホントか?! 俄には信じがたい。 もっとも、それがホントであってもなくても、私が彼に言いたいことはただ一つである。 「ちゃんとやろうぜ。」 <オーラス> あれは英断だと思った。 でも、二話ぐらい先で依頼人として帰ってきそうな予感。 私はラブラブエンドが大好きなんです。 |