みんな、嘘をついているんだよね? 私は思った。 だって、面白くないじゃない、『ファンタシースターオンライン』(以下『PSO』)。 今がたとえどんなに辛いときであっても、たとえそれがネットワークゲームの面白さを伝えるための方便であったとしても、ゲーマーとして嘘は許されない。 「オフラインプレイでも結構面白いよ」なんて言っていいのか? 嘘は許されないんだ。 私はその嘘を暴くために、一人『PSO』を続けた。 間違いなく、面白い!と叫びたくなるような要素は見あたらなかった。 ただ敵を倒しながら進んでいき、アイテムを拾うだけのゲームだ。 気持ちよく動くことは出来ない。 マップ上の仕掛けは申し訳程度である。 敵の倒し方に工夫が要るといっても大層なものではなかった。 初めてプレイしたときに感じた「前時代的な印象」は、やはり変わることがなかったのである。 ただプレイすることが苦にはならなかった。 今どきのDC用ゲームとしては少し低い次元ではあるが、バランスの取れたゲーム作りになっていたのである。 この場合のバランスとは難易度のバランスではなく、ゲームデザインのバランスだ。 どこか一部分を突出させるのではなく、低めのところに均して創られている。 そして、その中で何か面白さを演出しよう、というのがこの『PSO』なんだと私は思う。 タイミング良くボタンを押すことで3連ヒットまで出せるシステムなどは、繰り返し繰り返し行うことだけに、ちょっとしたことなのだが素晴らしいアイディアだった。 マグの育成などもシステムに負荷のかからない付加要素としては成功だったろう。 ボタン体系が非常に洗練されたものになっていることも特筆に値する。 そうなると疑問が沸くのは、ここまでのゲームが創れる人間が、なぜこんな低いところでバランスを取ろうとしたのか?ということである。 おそらくそれは通信のボトルネックのせいだろう。 戦闘空間を「部屋」に限定したり、速く動けなかったり、簡素なCGで統一されていたり、といったゲームデザインは、どこか一つを突出させてもボトルネックがあったら面白いゲーム作りは出来ない、という判断があったからに違いない。 正しい判断だと思う。 PS2に33.6Kモデムをつけて『PSO』をつくるとしたら、DC版よりも面白くなるだろうか? 同じレベルのものしか出来まい、と私は考える。 こう考えていくと、『PSO』というゲームは本当によく頑張ったゲームであると言っていい。 「オフラインプレイでも結構面白いよ」 私もそう言いたくなってきた。 これは嘘だろうか? 寂しげに回る赤いリングを眺めながら、私は自分に問いかけた。 |