『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という本がある。 2・3年前にちょっと話題になったから覚えている人もいるのではないか。 私はネットの書評でこの本を知って、世間から少し遅れて読んだ。 しかし、驚いたことに「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」というタイトルは看板に偽りアリであった。 タイトルが指し示す内容は、本全体から見るとごく一部である。 しかも常識で考えればわかることしか書いてなくて、非常にがっかりした。 「なぜ潰れないのか?」と書きながら、そこには謎など一つもないのである。 どうも近頃の書籍にはタイトルをひと工夫するのが流行りのようだ。 そういえば、島田紳助も『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する』という本のタイトルを考えたのは編集者だ、そんなことどこにも書いてない、ってテレビで言ってな。 結局本の中身よりも手にとって貰えるインパクトのあるタイトルを如何に付けるか、ということが大事なのだろう。 本も売れない時代だそうだし、売るにはそれなりの工夫が必要なのである。 ゲーム話でなぜ本の話から書き始めたかというと、私が最近タイトル買いをした作品があるからである。 PSPで発売された『勇者のくせになまいきだ』がそれだ。 プレイヤーが魔王サイドに立って勇者をやっつけるゲームであることだけは知っていたが、それ以外のことは全く知らなかった。 プレイヤーが魔王サイドに立って勇者をやっつける、という発想は実はさほど珍しくない。 ダンジョン物の本家本元「ウィザードリィ」シリーズにもあったはずだし、確か『巣作りドラゴン』とかいうエロゲーも似たようなコンセプトだったはずだ。 両方ともやったことないけど。 それでも敢えて美麗なグラフィックスを捨てて、しかもそれをパッケージ写真などでアピールしつつ、タイトルを『勇者のくせになまいきだ』にすると、非常に強い訴求力が出るな。 絵がちゃちいと逆にゲームは面白いんじゃないか、と思いこんでしまって、その思いこみを奇抜なタイトルが増幅するのである。 勇者を「くせに」と上から目線で扱いつつ、「なまいきだ」と理不尽な感想で一刀両断にするあたりは心憎いじゃないか。 遊んでみたら、なんでこのゲーム、あんなにやりたかったんだろう?と逆に不思議になった。 決して面白くないわけではないのだが、ダンジョン内に生態系を作ることの善し悪しがよくわからなくて、攻略の方針が立たない。 しかも、一回やりきり。 プレイヤーが使った時間に対して確実に成果を出すタイプではないので、モチベーションを保つのは結構難しそうである。 失敗した原因がどこにあるのか、それを解消するにはどうすればいいのか、が分かってくるとまたおそらく違った感想が出てくると思うのだが。 とりあえず上手くいっていないプレイヤーの感想としては、タイトル卑怯っくせー!!というのが素直な気持ちである。 タイトルを付けた人から見れば大成功なんだろう。 もっともそれ以前に、大成功と言えるほど売れたのか、私は知らないけど。 <後日談 2008_01_01> しかし上手くいかんな、このゲーム。 でも、面白くなってきた。 |