ニーアレプリカント_2

差分は小さくなっていくから 2010_05_22

 

『ニーアレプリカント』はなかなか気の利いたゲームである。
「次にどこへ行くか、何をするかを明示する」、「プレイヤーが今どう思っているのかを想像しろ」、「成果は固定されるべき」などなど、創り手に求められる今どきのお約束を概ね満たしていた。
それぞれ一つ一つは特別に目立ったことではない。
他のゲームでも実現されていることだから。
それを全体としてまとめてきたところに、このゲームの素晴らしさはあると思う。

ただ一つ、いい意味でも悪い意味でも際だったところがある。
私はポジティブに捉えているのだが。
ここから先はどうしてもエンディングについて触れなければならない。
今後プレイする気がある方は読まない方がいいだろう。

このゲームには2周目以降がある、というか、2周目をやることが当然に予定されている。
そういう意味では2周目と考える事自体が間違いなのかもしれないが。
エンディングを迎えた後、ゲームの中盤まで戻ってやり直しになるのだ。
それは別にいいのだが、問題は2周目になっても敵の堅さやアルゴリズムが強化されるわけではない点である。
一方で自分のパラメーターは引き継いだまま。
つまり、2周目以降メチャメチャ簡単になるのである。
イベントボスが5秒で倒せるぐらい。
1周目ですら簡単すぎるぐらいなのに、更に簡単になってしまうのだ。
普通、2周目は難易度を上げるゲームが多いでしょ。
私はここが非常に素晴らしいと思う。

というのも、2周目以降は新規な情報が少なくなるから。
情報の差分が小さくなるんだったら、負荷が小さくならないと割に合わないでしょ?
2周目、3周目とどんどん情報の差分は小さくなっていくんだから、どんどん負荷は小さくなるべきなのである。
そういう意味ではこの『ニーアレプリカント』のシステムは非常に理にかなっている。
やればやるほど簡単になっていくんだから。

ただし、もしアクション部分がこのゲームの核だ、ということなら話は別である。
そこがゲームの面白さだと創り手が思っているなら、難易度を上げるだろうな。
だからおそらく創り手もそうは思っていなかったんだろう。
ある意味謙虚な姿勢である。
誰にでも出来るように作ってあるということは、端から面白くないとも言えるわけだからね。
それこそアクションがやりたければ、このゲームやらなくても、『ベヨネッタ』でもなんでもやればいいわけだし。
情報の差分を見て欲しい、と思ったら、それに見合った負荷を提供する、という判断は極めて正しいのではないか。

おかげで私も4つのエンディングを全て見るまでやることが出来た。
たぶん難易度あがってたら、やらなかっただろうな。
少なくとも、3周目はやらなかった。
3つ目、4つ目のエンディングは条件キツイし。
私はこれで良かったと思う。
とても満足した。


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