オレンジボックス ポータル

アイディアだけでは 2009_02_18

 

システムのアップデートにより「超ウルトラ爆音マシン」から「リビングには相応しくないマシン」に大躍進したXBOX360であったが、困ったことになった。
なんと一番大事な『DOAX2』がインストールできないのである。
インストールできないモノの方が圧倒的に少ないらしいのだが、よりにもよって一番大事なソフトがインストールできないってどういうこと?
私のエロ心をどうしてくれる。
これでは「リビングには相応しくないマシン」から「超ウルトラ爆音マシン」に逆戻りである。

しかし、それではあまりにも不憫なので、何か別のゲームに使ってやることにした。
私が買ってきたのは『オレンジボックス』。
『オレンジボックス』はゲームの名前なのではなく、「ハーフライフ2」シリーズのお買い得パックという意味合いのようである。
なんでオレンジなのかはわからない。
それはさておき、私は「ハーフライフ2」がやりたかったのではない。
私がやりたかったのは『ポータル』というおまけ的な位置づけのゲームである。
噂に違わず、このゲームのアイディアは素晴らしい。
これは少し説明しなければならないだろう。

このゲームはFPSのシステムを使いまわしてはいるが、実際のところは3D空間から脱出するアクションパズルゲームである。
プレイヤーにできることは、壁に2つの穴を開けてワープすることと、アイテムを持つこと放すことだけである。
ただそれだけを使ってなぞを解いていく。
最初は説明がまったくないのでちんぷんかんぷんだったが、穴の向こうに自分がいるのを見て事態を理解することができた。

2Dで同じことをやった例は大昔からいくらでもある。
右端から出て行くと左端から戻ってくるようなゲームはそれこそ、ビデオゲームが生まれた頃から存在するはずだ。
しかし、これを3Dにすると、圧倒的に幅が広がるな。
下への重力加速度を横向きに変換できるんだよ。
下に穴を空けて、横へ飛び出せばいい。
プレイヤーはびっくりするけど、コンピューターにとっては座標の変数を入れ替えてやるだけだから、たぶん凄く簡単なんだろう。
これは凄いアイディアである。

しかしながら、私は「素晴らしかった」という話を書こうと思っているのではない。
実はメンド臭かったという話を書こうとしているのである。

このゲーム、出来ることが限られているので、ステージが進んでいくにつれて今までの組み合わせになったり、時間制限が入ったり、落下即死になったりする。
要するに、ゲームがシビアになっていくわけである。
謎解き自体は簡単にわかるのだが、実践するのがメンド臭いなあ、と思うようになった。
得られる喜びはどんどん小さくなっていくのに、乗り越える負荷は大きくなっていくのである。
本来なら大きな負荷を乗り越えたら大きな喜びが得られるはずなのだが・・・。
謎解きを思いついた時点で喜びを得てしまっていて、クリアしたときの喜びを前渡しされてしまっているからかもしれない。
正直、割に合わないと思ったな。
最後のステージなんかもう、このゲームに敬意を表して頑張ったつもりである。
いや、ほんとにメンド臭かった。

そして、だからこそ我々が普段遊んでいるゲームはいろいろ工夫がなされてきたんだな、と思った。
ストーリーを入れてプレイする動機付けを与えたり、行為に価値付けをしたり、まるで大きな困難を乗り越えたかのように錯覚させたりするのである。
我々はそこにお金を払っているのである。
どんなに素晴らしくても、デコレーションなしでは一本のパッケージソフトとしてなかなか成立しないよな。
これはよく出来たゲームだからこそ、より強く感じられるのである。
『ポータル』がおまけ的な位置づけでしかないのは、創り手もそう思っているからなのだろう。
もちろん、だからといって、このゲームの素晴らしさは些かも貶められることはない。


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