ボクは小さい

奇跡的な出会い 2002_11_24

 

いやー良かったなあ、というのが感想である。
何が良かったって、このゲームに出会えたことが良かった。
『ボクは小さい』。
それは5センチの宇宙パトロール見習い隊員が4LDKの家屋で繰り広げる小さな小さな大冒険。
こんなに凄いゲームだとは全く予想していなかった。
嬉しい事ってのはあるもんだね。
残念ながらPS2用なのだが、このゲームは。

このゲームの何がスゴイか?
何がスゴイって、小さいことを逆手に取っているのがスゴイ。
小さいからジャマにならない。
小さいから原住民の生活を覗くことが出来る。
小さいから4LDKの家屋が大冒険になる。
小さいからハムスターと同じレベルで会話できる。
小さいからちょっとおバカさんでも問題なし!、むしろ面白い。
小さいから作りがチャチくてもOK!、むしろ味わいになる。
「小さい」って事がこんなにも多くの作用をもたらすなんて、ちょっと想像できなかった。

更にこのゲーム、構成が上手い。
『ボクは小さい』というゲーム進行のメインは仲間を助けること。
でもそれはこのゲームの核じゃない。
このゲームの核は、4LDKの家屋で起こっている出来事を理解することである。

仲間を助けるついでにカメラを起動させておく。
仲間を助けている背後でこの家屋で起こっている出来事の断片を見せる。
この家では常ならぬ色々なことが起こっているのだ。
そうすると、この家の中で何が起こっているのか気になって、カメラを見たくなる。
カメラを見ることでこの家の中で起こっている出来事が判ると、それが謎解きにつながっていく。
謎を解くためにカメラを眺めていると、この家の中で起こっている事を隅から隅まで知りたくなる。
知りたいんです、私は。
今しがたエンディングを向かえたところなんだけど、これは終わりじゃない。

エンディングを眺めていて、なんだか胸が熱くなって涙が出た。
別にそんな泣くようなゲームじゃない、『ボクは小さい』は。
でも、この4LDKの物語が体の中に入ってきていれば、この暖かな気持ちに誰もがなれるはず、きっと。
そうなれるように、ゲームが誘導している。
作りが安いので、そりゃパーフェクトな作品だとは言えないけどね。

知らなければ知らないで終わってしまう。
ゲームの洪水の中で捕まえられることなく流されていきそうだったこの『ボクは小さい』という作品。
このゲームに出会えたことが良かった。
本当に良かった。
PS2用の作品だけに、これは奇跡的な出会いだ。


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