スーパーマリオ ギャラクシー

3Dへの無謀にして果敢な挑戦 2007_11_22

 

クリボーを踏みつけることがこれほど難しいとは。
軸が一つ増えるだけで、プレイヤーにかかる負荷が全然違う。
3Dというのは大変だ。
マリオの本編でよくもまたこれだけのチャレンジをしたものである。
『スーパーマリオ ギャラクシー』は無謀なほどに意欲的な作品だな。

知っている人は当然知っているだろうけど、クリボーというのはマリオ系には必ず登場する雑魚キャラである。
亀のノコノコにはコウラという使い道があるが、クリボーにはそういったものはない。
正に雑魚中の雑魚、キングオブ雑魚といった趣を持つこのキャラは、今回の『ギャラクシー』においても序盤からやられ役として登場する。
彼は踏まれるために登場してくるのである。

しかし、これが難しい。
3Dになると、ジャンプしてクリボーの上に落ちるだけの事がこれだけ難しくなるんだな。
下の影を見ないと奥行き方向にどれだけ進んでいるのか分からない。
マリオは走り始めに慣性が強めに設定されていて、その割にジャンプしてから調整が効く、という特性に慣れていないうちは、影を見ながらやっても相当ストレスが溜まる。
もちろんそれがゲームであって、それを乗り越えることが出来ればより面白いはずだ。
創り手としては当然、それに挑ませようという意図でこのゲームを創っているわけである。
このことを少し考えてみようか。

私は『スーパーマリオ サンシャイン』をプレイしていて、右アナログスティックで視点を回していくことで難易度が下がることに気が付いた。
積極的に視点を回していって、周りを確認し、目標物と平行か垂直の位置に視点をもっていくことで次元を一つ下げるのだ。
そうすると、難易度がグンと下がる。
これは3Dによる負荷を右アナログスティックを操作する負荷で肩代わりしてやった、とも考えられる。
私はそうやって『サンシャイン』を攻略した。

だが、Wiiのコントローラーには右アナログスティックがないし、そもそも右アナログスティックが使えるようなプレイヤーを想定していないワケである。
だから視点による負荷は創り手がほぼ100%決定してやることになる。
そこで、である。
クリボーを踏むときに横から視点にしてやれば、次元が一つ落ちて楽になるはず。
でも、それはやらないのだ。
奥行き方向に飛んで欲しい、3D空間を堪能して欲しい、という思いがあるんだな、このゲームには。
重力の方向が上下左右に変わるステージでは真横視点になるが、あれは視点による負荷を軽減しているのである。
重力方向の変化がプレイヤーにとって大きな負荷になるからだ。
逆に言うと、真横にならないステージはそういう意図で視点を決定しているのである。

視点側に負荷をかけているので、当然操作自体の難易度は相当低い。
ところが、実際にやってる印象としてはそんなに難易度が低いようには感じないな。
重力方向が頻繁に変わることもあって、『64』や『サンシャイン』よりもイヤらしい印象を受けるのだ。
電源を入れる度に、このゲームやりたくない!という気分が常に付きまとう。
3Dマリオの正統後継でよくまたこれだけ意地を張った作品を出してきたな。
私が知っている今どきの日本のゲーマーにこんなもん出来んのかいな、と思うのだが、果たしてどうだろうか。

正直に告白すると、私はこのゲームをやるのにかなり自分を奮い立たさなければならない。
寝る時間が迫ってくるまで逃げ続けて、一日が終わってしまう!という段になってようやくプレイを開始するのである。
やればやったで楽しいのだが・・・・。


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