いつも私は「置き換え」という言葉を使う。 我々が遊んでいるテレビゲームは大抵の場合、ゲーム中の行為を方向キーやボタンに置き換えることによって成立している。 もっとも今は方向キーやボタンだけじゃない。 DSやWiiのような新しいデバイスを持ったゲームマシンが登場したおかげで、我々は同一性の高いゲームを楽しめるようになった。 同一性が高いということは置き換え元が持っている魅力・面白さをゲームに取り込むことが出来る事を示している。 当然、ゲームの創り手は新しいデバイスを見て、これは何に置き換えられるだろうか?と考えるはずである。 しかし、置き換えられるものを探す、というアプローチばっかりでもないな。 置き換えられるものをゲームの中に創ってしまえばいい、という考え方もあるわけである。 もはやDSも使い尽くした感があるけれども、時間が経つとやはり面白い使い方を見つける人も出てくるもんだと感心したゲームがある。 DSで発売された『タイムホロウ』がそれだ。 ゲームの内容を書くのがメンド臭い。 大雑把に言うと、都合の悪い現在を修正するために過去に干渉するゲームである。 映画でいうと『バタフライ・エフェクト』の内容に極めて近い。 物事がカオスであることを示す意味では『バタフライ・エフェクト』には遠く及ばないが。 まあ、それはいい。 問題は過去への干渉の仕方である。 このゲームでは時空に穴を開けるのにペンを使う。 開ける範囲をペンで囲って、その範囲にある過去の同じ場所にアクセスするのだ。 これは結構凄い。 だって、なんでペン?って思わない?普通。 これはやっぱり置き換えられるものを探してたどり着いたんじゃなくて、DSのデバイスをゲームの中に組み込んだんだな、どう見ても。 DS本体をゲームの中にそのまま持ち込んだ例はポケモンをはじめ幾つかあったけど、ペンを持ち込んだのは新しいな。 置き換えるんじゃなくて、そのまま持ち込めるものを創ってしまえばいい、というアプローチ。 この発想は結構使えるんじゃないか。 |