ラストウィンドウ 真夜中の約束

話すことで気が軽くなる 2010_01_23

 

DSで発売された『ラストウィンドウ 真夜中の約束』は、『ウィッシュルーム』の続編だった。
まったく知らないまま、開発会社とパッケージの雰囲気で注文してしまったのだが、結果的には大正解。
私あれ、すごく好きだったからな。
何も解決しない、みんなホンの少し気が軽くなっただけっていうのが良かった。
今回の作品も基本的には似たような感じである。
ただし、前作よりまじめに事件は解決するけど。

主人公は自分が住んでいるアパートが事件の現場だとはまったく知らず4年間住んできて、ほとんど他の住人と話す機会がなかった。
このまま話すこともなく、アパートを出るはずだった。
ところが、謎の依頼者によってもたらされた依頼を解決するために、主人公は今まで挨拶程度しかしなかった住人達と話すことになるのである。
局面によっては事件に関係なく、単なるお節介にしか見えないときもあるな。
とにかく話す。
そして、相手の胸の内にある物を吐き出させる。
まるでカウンセラーみたいだ。
最終的には住人のほとんどの秘密をさらけ出させてしまう。

で、みんなをスッキリさせて、誰が一番救われたのか、というと、実は主人公自身だった。
話させることで自らも話し、自分の内にあるものもさらけ出すことになるからだ。
この物語が非常に気持ちいいのは、ウィンウィンの関係だからだろうな。
非常に良いお話だね。

今回の作品は、非常に良くできている。
ゲーム機の末期にしばしばみられる「こなれ感」があるアドベンチャーゲームだ。
DSで使えるギミックは一通り網羅してあるし、誘導・限定もバッチリ。
テンポもイイ。
水彩画みたいなアニメーションも良い雰囲気だ。
選択肢を間違えても、直前からやり直しできるから安心。
クリアした章から小説になっていくシステムも気がきいてる。
しかも袋とじつき!
褒めようはいくらでもあるな。

でも、一番大事なことは、やっぱり気が軽くなるってことじゃないかな。
それは読後感の爽やかさにも繋がっているんじゃないかと、エンディングをみて思った。
みんなそれぞれに少しずつハッピーで、結構なことですよ。


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