コアなユーザーはメーカーの為ならず '99_09_17
コアなユーザーはメーカーの為ならず '99_09_17
既にエンディングを迎えてしまった「爆裂無敵バンガイオー」だが、まだ離れられな
いでいる。
エンディングの画面切り替えが早すぎて内容がわからないから、というもの少しはある。
ふざけた世界観が気に入っている、とも言えなくはない。
しかし、どちらかというと、20倍カウンター時の跳ね返り画面が癖になってしまって
いる、と言った方が良いように思う。
画面に300発の弾が飛び出す様は、本当に気持ちいいのだ。
このゲーム、エンディングテロップを見るとわかるのだが、開発にあまりたくさんの人
が関わっていない。(最近にしては)
実際遊んでみても感じる。
基本部分のプログラムさえ組んでしまえば、あとはマップメイクだけだ。
同時に多くの軌道計算をしなくてはならないので、基本プログラムは高度なテクニック
が必要になるであろう事は想像に難くないが、開発費は安かっただろう。(軌道計算は
簡略化してあるのか?)
にもかかわらず、これだけ納得できる作品に仕上げてくるあたりは、さすがトレジャー!
とこのコナミを退社したメンバーが中心になって設立したメーカーに対して賛美を送り
たくなる。
そして、ふとあの時に感じたことを思いだした。
この私が送りたいと思っている、多くの『コア』と表現されるゲーマー達が送る賛美と
いう奴が、必ずしもメーカーのためにならないんじゃないかと感じたときの事をである。
私はほんの一時期だけ、トレジャーのHPにある伝言板を利用していたことがあった。
それは私が「ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ」のタイムアタックに挑戦していた頃の
話だったと思う。
私は概ねゲームの面白いことを書く。
ゲームのつまんないことなんか書いても面白くないから書きたくない。
しかし、悪いことも書かなくちゃ行けないんだ、ただ闇雲に誉めるだけではいけないん
だ、と気づいたのはこの頃である。
私はある日、BBSに書き連ねられる賛美の数々に違和感を覚えた。
伝言板は開発者におもねるような誉め基調一色だったのである。
開発者も概ね色好い返事を書いていた。
こんなに良いところばっかりのゲームなのに、売れていないのはおかしいんじゃないだ
ろうか?
何か一般受けしない要素があるんじゃないだろうか?
そこで私は、当時発売されたばかりだった「シルエットミラージュ」について、やや否
定的な見解を載せてみた。
私は決して「シルエットミラージュ」が嫌いだったわけではないが、これは一般受けし
ないだろうという気がしていたからだ。(上手い人ほどプレイタイムが短く、下手な人
ほど長くなる、というシステムに私は疑問を持っていた)
つまり『コア』なユーザー向け、という印象を持ったのだ。
結論から言うと、かなり開発者の方に嫌われたらしく、まともな回答は得られなかった。
私もそれ以上つっこむ気はなかった。
この小さな会社の伝言板での新作に対するやりとりは、営業妨害にもなりかねない。
結局、私が持った『コア』向け的な印象は、のちに発売されるシューティングゲーム、
「レイディアント シルバーガン」にもあてはまることになる。
いまここで私は、『コア』であることを自認するユーザーの声にばかりに耳を傾ける事
に疑問を投げかけたい。
良いゲームを作るメーカーの作品は売れるべきなのだ。
そしてより良いゲームの再生産を行うべきなのだ。
縮小しながらの制作になってはならないのである。
そのためには、『コア』でないプレイヤーに対する配慮を常に忘れてはならない。
もっといえばプレイヤーに媚びてもいい。
私は「ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ」を遊んでいるとき、制作者の「お願いします、
遊んでください」という気持ちを感じた。
「爆裂無敵バンガイオー」の中にも感じた。
この気持ちをもっと大切にして行くべきだと私は思う。
そして、良質なゲームが多くの人にプレイされて欲しいと思うのだ。
きっと『コア』でないプレイヤーの声は小さい。
『コア』なプレイヤーの声にかき消されてしまうかもしれない。
だが、その声に耳を傾けて欲しい。
そうでなければならないのだ。