インフィニットループ 〜古城が見せた夢〜

一つに収斂する 2008_09_08

 

これはまた凄いゲームに出会ったな、『インフィニットループ~〜古城が見せた夢〜』。
PSPで遊べるアドベンチャーゲームを探していて見つけたのだが、これもまた日本一ソフトウェアの作品だった。
ここのメーカーさんは、アドベンチャーをゲームにすることに生き甲斐を感じているのではないかと思うぐらいしつこく作ってくるな。
驚きの内容だった。
しかし、最後には全然面白くなかったことも書かなければならないのだが。

発注した段階では実は気がついていなかった、タイトルの意味に。
カタカナで書いてあるもんだから。
「infinite roop」だから、いかにも無限ループしますよ、というゲームである。
面倒だからゲームの説明は出来ればしたくないのだが、どうしても多少は書かなければならない。

このゲームの主人公は呪い殺されたある国の皇太子なのだが、彼が背後霊となって登場人物の後ろについて回ることでゲームを進めて行く。
要するにザッピングである。
『ゴースト』とか『オールウェイズ』とか有名な映画があるから、背後霊を使うこと自体は割と簡単に思いつくはずだけど、ザッピングに使うってのはなかなか良い着眼だよな。
ザッピングすること自体もまたゲームに出来るからな。

更にもっと凄いのは成果が蓄積されるように作られている点である。
ザッピングしたルートが埋まる、ザッピングで得たキーワードが蓄積する、さらには変更された時間の流れが固定される。
正解に近づく選択をすると、それが固定されて、次回からはそれをやらなくてもいいのだ。
これは考えてみると非常に面白いことで、通常アドベンチャーゲームというのは、ゲームであろうとするが故に分岐を設ける。
ストーリーは枝葉のように拡がっていくのだが、このゲームは最終的に一つに収斂するように作られているのだ。
逆だな。
収斂することをゲームにするというあたりは珍しい。
私は初めてみた。

新しい上に極めて今風だな、これは。
今どき、一回やった手順を何回も繰り返すのはイヤだし、セーブ&ロード攻撃を仕掛けるのもメンド臭い。
アドベンチャーゲームに新しい雛型を創って見せたといっても良いんじゃないか。
その点について私は大絶賛したい。

しかし、である。
実は全然面白くなかった。
ゲームを進める動機付けとなるストーリーにまるで興味が持てず、ザッピングする動機付けとなるキャラクターにまるで魅力を感じられなかったのである。
これは困ったことだったな。
ヤケに貧乏くさい王国の財政の話なんか知らんがな。
国葬のために臨時税を取り立てるって、貧乏にもほどがあるだろう。
それで暴動を起こす民衆も民衆だ。
一商人の私財で何とかなる程度の国葬だぜ、そもそも。
各キャラの時系列を追っていくのが、それはそれは苦痛だったな。
正直な話、どーでもいいわいと思いながらやっていた。

これは残念だな。
褒めまくって締めた方が書いてても楽しいのに。
褒めようにも褒められない。
褒めちぎれるゲーム大募集!!


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