ファントムクラッシュ_2

思いやりという名の雑巾 2003_04_11〜15

 

ようやく、『ファントムクラッシュ』が一段落付いた。
ファーストランカーを倒してからも、私はまだこのゲームを続けていたのだ。
なんといっても、ゲームは理解が深まると楽しい。
用意されているステージはすべてクリアしておきたかった。

こうやって一通りプレイしてみると、この『ファントムクラッシュ』というゲームが非常に高いポテンシャルを持っているんだ、ということがわかる。
見えにくいプレイヤーの成長をスクービー(戦闘用ロボット)の成長で底上げしてあげる構成。
それはプレイヤーの喜びをも底上げしてあげることになるのだ。

しかし、この作品はさほど評判にはなっていない。
基本となるゲームシステムだけ見たら、なぜこの作品が高い評価を受けないのかを理解することの方がむしろ難しい。(XBOX用なので、売れないことは致し方ないとしても)
その原因は要するに、「期待しすぎ」なのだと私は思っている。
ほかっておいてもプレイヤーは自分で何とかしてくれる、と創り手は思いすぎているんじゃないか。
いくつか例を挙げてみたい。

はじめてスクービーを買うとき、なぜ説明しないのか?と私は思った。
スペック表をどう見たらいいのかわからない。
何か示唆を与えてやらないことには、選びようがないだろう。
なぜ、プレイヤーが戸惑うんじゃないか?と考えないのか。

このゲームはよく単調だといわれる。
改造費用のために、ランブリング(戦闘)で賞金を稼がなければならないからだ。
しかし、難易度の高いステージで戦っていれば単調だとは感じないはずで、単調だということはすなわち、難易度の低いステージで確実に賞金を稼いでいることになる。
プレイヤーは楽な方に流れるからね。
だったら、何か手を打たなくては。
私だったら、難易度の高いステージの賞金を大幅にアップすることでプレイヤーを高難易度へ誘導する選択をしたと思うし、コツコツ稼がせる意図ならば、何かイベントを挟むとか目先を変えてやらないといけない。
なぜ何も手を打たないのか?

このゲームにはライトセッティングとヘビーセッティングが用意されているが、実際にはヘビーセッティングに流れやすい。
複数の敵と乱戦になるので、スピードを殺しても耐久力を上げたくなるのだ。
死角から攻撃されることもよくあるから。
しかし、ライトセッティングが用意されているということは、ライトセッティングでの高速バトルを楽しんで欲しい、という意図があるはずだ。
だったらなぜ誘導しないのか?
ほかっておいたら、みんなヘビー寄りになってしまうだろう。
せめて、レギュレーション戦(ランク戦とは別の一定制限下での戦闘)に重量制限を入れてやればいいのにね。

私が思うに、こういうのはプレイヤーに期待しすぎなのだ。
プレイヤーは基本的にダメちんだと思った方がイイ。
そこには、開発期間が短くて手が回らないからプレイヤーに期待することにしておこう、という精神作用があるのかもしれないけどね。
一万本ぐらい売れてOKなら、それでも良いけど、この作品をその程度に落ち着けてしまうのは余りにも勿体ない。
『ファントムクラッシュ』の続編という位置づけでなくてもいいので、何とか開発を続けて欲しいものである。
この世界観を捨てるのも勿体ない話ではあるが。

このゲームは磨けば光る。
必ず光る。
そのために必要なのは、「思いやり」という名の雑巾だけ。



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