ウィッシュルーム

告白するだけ 2007_02_19

 

オープニングは発砲シーンから始まる。
いかにもサスペンスものっぽいのだが、実は最後まで何もない。
それぞれが一見別の悩みを抱えているようで、実は全て繋がっている登場人物達が悩みを打ち明けるだけの話である。
こういう持って行き方も珍しいな。
『ウィッシュルーム』は非常に珍しいアドベンチャーゲームだった。
DSで発売されたこのゲームをこれからプレイする気のある方は、この続きを読まないほうがいいだろう。

このゲームには主人公を入れて、全部で10人ほどの人物が登場するのだが、みんな悩みを抱えている。
悩みがなんとか解決しないものかと、登場人物たちは物語の舞台であるホテル「ダスク」に集まってきたらしい。
全く以て困ったことなのだが、同じ日に集まったのは偶然のようだ。
主人公は当初、彼らの悩みが実は全部繋がっているなどとは思いもよらないのである。

ところが、主人公はお節介にも彼らの悩みを一々告白させる。
私はプレイしていて、なぜ主人公がその他の登場人物に介入するのか、理解できなかった。
大きなお世話だよ。
最終的には全部繋がっているんだけど、話させてみないことには判らないからね。

結局全部話を聞いて回って、悩みを全部打ち明けさせて、それで何か解決したかというと、全く何も解決しなかった。
誰かを裏切ったという過去は変えられないし、死んでしまった人は生き返らない。
ただ少し気が晴れたというだけのことである。

でも、エンディングを迎えたとき、そう悪い気はしなかったな。
主人公の目的は、そもそも「なぜ?」を解決することであって、別に昔のパートナーをひっつかまえる事ではなかったんだから。
主人公も含めて、皆現実を受け入れてまた生きていくってところが、なかなかイイじゃないか。
こんなにもささやかな成果しか得られない物語も珍しいな。
実をいうと、あんまり良い構成のゲームではないと思っているんだけど、解き終えた時の満足感は高い作品だった。


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