サクラ大戦物語 〜ミステリアス巴里〜_2

思いがけない収穫 2004_08_20

 

つまんなーい、と思いながら『サクラ大戦物語 〜ミステリアス巴里〜』をやってきて、思いがけない収穫があった。
ギャルゲーには、無理矢理にでも時間を使わせる機構が必要なのである。
前々からわかってはいたんだけど、ここまで明示されることもなかなか珍しい。

『ミステリアス巴里』は、「推理アドベンチャー」と名乗っているそうだが、実は真っ赤な嘘である。
従来の「サクラ大戦」からアドベンチャーパートを抜き出したにすぎないのだ。
フラグ立てのついでに好感度を上げるというか、好感度上げのついでにフラグを立てて回るといった感じなのである。
私も含めてプレイヤーの多くは「サクラ大戦」のシミュレーションパートは要らない、と主張してきたので、ホントに省いてみたんだろう。

そしたら驚いたことに、これは面白くなかった。
いままで私たちは、「シミュレーションパートは面白くないが、アドベンチャーパートは面白い」と思っていたのだが、実は錯覚だったのである。
アドベンチャーパートも面白くなかったのだ。

シミュレーションパートで無理矢理にでも時間を使わせることによって、つまんないアドベンチャーパートが面白いように感じられていたのである。
それはプレイヤーに使わせた時間が、キャラクターへの、あるいはゲーム世界への思い入れを深めさせるからなんだろう。
アドベンチャーパートだけ抜き出したって、気持ちは高まってこないのだ。

少し昔話を書くと、私は『放課後恋愛クラブ』というエロゲーにハマっていたことがある。(PC版)
ものすごく文字表示が遅く、いまから思えば怠いゲームだったろう。
では、なぜ私はこのゲームを好きになったのか?
それは、どうしても椎那ちゃんをクリアすることが出来ず、延々とプレイし続けたからだ。(椎那ちゃんはヒロイン格の親友)
終いには「なぜ俺の愛を受け入れてくれないんだ、椎那ちゃん!」と叫ぶ羽目になったものである。
一周2時間半から3時間はかかったと記憶しているのだが、おそらく椎名ちゃんだけで20回はプレイしたのではないか。

この当時、Windows95の登場によってエロゲー界の勢力分布が変化し始めていた。
16色の時代には綺麗な絵を描けるのは大手メーカーだけだったのに、色数が増えたおかげでマイナーメーカーでもそこそこの絵を描けるようになったのである。
『放課後恋愛クラブ』はつるんとした色塗りで、当時ちょっと目立った存在だったのだ。
まあ、平たく言えばエロかった。
だから、椎那ちゃんだけクリアしないわけにはいかなかったのである。

椎那ちゃんを落とすために、ゆっくりとした文字表示を眺めていると、ホントに椎那ちゃんがしゃべっているような気がしたものだ。(音声はない)
バグなしCDに交換してもらって椎那ちゃんを攻略したときは、そりゃもう嬉しかった。
『放課後恋愛クラブ』は思い出のエロゲーになったのである。

プレイヤーを引き留めることが出来るのならば、可能な限り時間を使わせてやった方がいい。
これは私の経験から言っても、紛れもない事実である、エロゲーとギャルゲーの違いはあるにせよ。

ところが、プレイヤーはやっぱり時間は使いたくない。
「ときメモ」であれ、「サクラ大戦」であれ、同じことである。
さあ、どうするんだろう?
過去の経験から言うと、負荷を小さくする方向でバランス取りを試みた続編は大抵失敗する。
かといって、プレイヤーに与える喜びを大きくするには、たんまりお金がかかるのである。
『サクラ大戦5』がどうするつもりなのか、ちょっと興味のあるところだよね。

もっとも、PS2で展開する新シリーズを買ってやるつもりなど、毛頭ないのだが。



<余談>

当時『放課後恋愛クラブ』にバグがあって、攻略できないキャラがいることは有名な話であった。
椎名ちゃんにバグがあるという話は聞いたことがなかったのだが、なぜか私は攻略できなかった。
バグなしCDに交換後、一発でクリアできたので、バグが何かのフラグに影響してたんだろう、と思っている。

ちなみに、現在では単位エロあたりにかけられる負荷の量は極端に小さくなっているので、『放課後恋愛クラブ』の様なバランスは許されない。



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