『正隆』は本当に魅力的か 2000_01_29

『正隆』は本当に魅力的か 2000_01_29



「サカつく」に別れを告げてからのこの数日、凄まじい勢いでゲームが
進行していく。
年末には随分と沢山のゲームを買ったが、ほとんどプレイできない状態
が続いていた。
しかし、いざ「サカつく」が終わってみると、一日5〜10時間という
過酷なゲームスケジュールになれてしまい、どんどんゲームが消化され
ていくのだ。
『消化されていく』という表現は、本当はあってはならないのだろうが、
ここまでくると他に言葉が見つからない。

そんな訳で、今日もまたエンディングを迎えたゲームがある。
それは「探偵神宮寺三郎〜灯火が消えぬ間に〜」だ。
前作がお気に入りだったので、大きな期待を持って臨んだゲームである。
エンディングを迎えて、十分な満足感を持つことが出来た。

もっとも3日前までは、全体の3分の1程度のところで止まっていた。
もちろん「サカつく」のせいではある。
ほとんど時間を割くことが出来なかった。
しかし、それだけではない何かを感じてもいた。
どうもチグハグな印象を拭えなかったのだ。

このゲームの中には『正隆』という青年が登場し、あたかも彼が事件の
発端であるかのように序盤は進んでいく。
主人公であるところの神宮寺三郎は、この『正隆』という青年の魅力に
引きずられる様にして事件へ関与することになるのである。
それ自体は別に悪くはないはずだ。

しかしながら、私は神宮寺と助手の洋子が『正隆』について微笑まし気
な会話を交わす度、なにか白々しいものを感じていた。
なぜならば、私はちっとも『正隆』の人を惹きつける何ものかを理解す
る事が出来なかったからである。
実際私は、『正隆』というキャラクターの魅力について、なんのプレゼ
ンテーションも受けていないように思う。

おそらく作り手の中では、『正隆』という人間が生き生きと動いていた
であろう。
であればこそ、神宮寺が彼に突き動かされていく様を、ごく自然なこと
として描いていけたに違いない。
だとしても、それを伝えなかったら、少なくとも私にはわからないので
ある。
そこには作り手とプレイヤーの間に大きな温度差があった。

もちろん感覚というものは、その時々の自分の状態に影響されるので、
私が感じていたチグハグな印象を鵜呑みにすることは出来ない。
ただ、もっと早い段階でこのゲームにのめり込めていたら、自分の中で
このゲームはもっと高い評価を受けていたような気がする。
もったいないことをしたな、とエンディングを眺めながら思った。