左カーブ直前に3速に落とす。 思い切りインを突いて、ブレーキからサイドブレーキ。 グリップを確かめるように体勢を立て直し、アクセルをふかしつつ、すかさず4速へ。 そして次の右カーブを抜けていく。 そのとき自分の中にブレイクを感じた。 私はこのところ、「セガラリー2」にはまっている。 予想外だった。 ファーストプレイでは、あまりに難しくてこれは手が出ないかも、という印象が強かったのに。 やはり通信対戦は、私をこのゲームにのめり込ませるきっかけになった。 抜きつ抜かれつの展開でないと、せっかくの通信対戦も面白くはない。 とりあえず自分をそのレベルまで上げる必要があった。 その後、セガラリーのHPで開催されているタイムアタック大会に参加してみようと思い立った。 これが決定的に私を「セガラリー2」へと向かわせることになったのだ。 しかし、伸び悩みを感じ始めていた。 タイムが縮まってこない。 初登録では501位だったが、あっという間にランク外へと転落していった。 上位のタイムを見ると、とても太刀打ちできそうになく、やる気も萎えてしまいそう。 そんなとき、ブレイクは突然訪れたんだ。 いつもはサイドブレーキだけを用いて、なるべく速度を落とさないよう、なだらかな円弧を描くように、あるコーナーを攻めていた、。 ただし、進入角が非常にシビアで、成功はむずかしい。 うまくいかなくてイライラしていた。 それは立ち読みした雑誌に書いてあった攻め方だったんだ。 ふと、ブレーキングをかましてシャープに曲がってみたらどうだろう?と思った。 考えなしにやると、大抵混乱してしまうのだが、どういうわけが素直に体が反応した。 鋭く車体を回転させてコーナーを抜けていくマシンを見ながら、これだよっ!これが俺の求めていた走りなんだよ、と呟く自分がそこにはいた。 それによって得られたタイムは約1秒。 もちろんそれがベストの走りだという保証はないのだが、その1秒はかけがえのないもののように思われた。 そして、はじめて一位を取ることが出来た。(championship mode) 嬉しくて仕方がなくて、部屋の中をガッツポーズしながらうろつき回る。 でも、せっかくだからリプレイを見てみようと思い立った。 もう詰めようがないと思っていたDESERT(一番はじめのコース)ですら、まだまだ余地はありそうに見える。 まだこれからだ。 まだブレイクを感じることが出来る。 それが嬉しかったんだ。 |