マリオ&ルイージRPG2

任天堂がやってもこの程度 2006_02_13

 

ゲームの世界に訪れている閉塞感。
それはよくできたゲームの方が強く感じられるらしい。
昨年末に発売された『マリオ&ルイージRPG2』をプレイしていく中で私はそのことに気がついた。

前作の『マリオ&ルイージRPG』は非常に素晴らしい作品だった。
2つしかないボタンをマリオとルイージに一個ずつ割り振って二人同時にコントロールする、というのは凄いアイディアだったな。
さらに、敵の攻撃に常に2パターン以上持たせて、攻撃を見切る過程と避ける過程の2段階でゲームを提供するという試みも素晴らしかった。
ただぼーっと人形劇を眺めているだけのRPGが多い中で、あくまでゲームをやらせるんだ、という強い意図を感じることも出来た。

しかしながら、今回の『2』ではボタンが4つになった。
NDSだから。
ごく自然な流れとして、4人にボタンを一個ずつ割り当てて、4人同時にコントロールすることになったようだ。
すると、不思議なことに、どうも間延びしているような気がするのである。
考えてみると、このことは、ボタンが増えて操作が複雑になっていったゲームの世界の歩みとまるで同じことのようであった。

操作が複雑になる、ということは、当然プレイヤーにかかる負荷が大きくなる。
そうすると、全体としての負荷を下げるために、個々のゲームは逆に難易度が下がるのだ。
ゲームの構成を理解できるまでは難しいような気がするけど、やってみると実は簡単。
今時のゲームって、大概そういう風になっている。
では、『マリオ&ルイージRPG2』の中でどうなっているか、もう少し具体的に書くことにする。

戦闘シーンでボタンを4つ使う。
プレイヤーの脳にかかる負担は『1』の時より大きくなるが、ゲーム全体としての負荷はあまり大きく出来ない。
そうすると、攻撃のタイミング、避けるタイミングは逆に甘くなる。
ところが、そのうち場合分けを覚えてしまうと、今度は簡単になりすぎるので、達成感を稼ぐために敵の体力を少し多めに設定しておくことになる。
結果として、なんか間延びしている感じがするのである。

もう一つ。
今回は4人になったので、ブラザーアクションが増えた。
前は二人だったので、二手に分かれると一人分のアクションしかできなかったが、4人になったので、二手に分かれても尚ブラザーアクションが使える。
そのことは謎解きにおける判断が複雑になることを意味している。
そうすると、プレイヤーが感じる負担は大きくなるので、謎解き自体は逆に簡単になる。
つまり、どのアクションを使ったらいいのか、分かり易く説明するようになるのである。
ところが、分かり易くすると、あっという間に終わってしまうので、マップが長くなり、同じ仕掛けを何度もやらねばならなくなる。
結果として、なんか間延びしている感じがするのである。

『2』をやってて、ずっと物足りない感じがしてたんだ。
どこかが悪いワケじゃない。
むしろ続編としては完璧な作品だと思う。
もちろん良いところもいっぱいある。
しかし、このゲーム凄いよ!!って言いたくなるかというと、そんな感覚は全くなかった。
むしろ、任天堂が完璧な仕事をしても、ボタンが4つの続編を創らせたらこの程度なのか、という印象の方が強かったな。
これは改善する余地のない良く出来たゲームだから、より強く感じられるんじゃないかな。

そして、だからこそ今NDSが登場し、レボリューションが登場しようとしているだと言えるのかもしれない。
ゲームの世界に訪れた閉塞を打ち破るのは、新しいデバイスなのか、それとも進化したグラフィックスなのか。
その答えが出るのはもう間もなくのことである。
私の中ではすでに答えは出ているのだが。



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