ハッピーダンスコレクション_3

指先を使うよりも 2009_02_09

 

『ハッピーダンスコレクション』をやっていて、「あっ、これは楽しい!」と感じる瞬間がある。
例えば、「Choo-Choo Train」で両手を上に挙げて横へスライドさせると同時に、腰を反対側へ動かしたとき。
あれはたまらんな。
やっぱり手以外の部分も同時に動かした方が楽しい。
これは一般化できるのではないか。
「バーチャファイター2マニアックス」の中の養老孟司先生へのインタビュー記事を思い出して、私はこれから書こうとしている。
残念ながら本が見つからないので、例によっていい加減な記憶に頼らざるを得ない。

私の記憶によれば、人間の神経の中でも目と耳と指先という支配的なセンサーを使っているから、対戦ゲームは結構自分でやっているような気になれるんじゃないか、という話を養老先生はしていたと思う。
おそらく、脳みそが置き換える行為に対してたくさん処理をすればするほど一体感が出てくる、という話だろう。
じゃあ、通常のコントローラーを使う場合とWiiリモコンを使う場合を比べてみたら、さてどうか。
目と耳から情報が入ってくるという点に関しては、さほど変わらないはずだ。
すると、指先で十字キーなりアナログスティックなりを動かすことと、Wiiリモコンを振り回すことと、どちらがより脳みそを使うか、という話になる。

すると、これは微妙だな。
腕の方が可動域は広いけど、指先ほど細かい動きは出来ない。
おそらく指先を使う方がずっと脳みそを酷使しているのではないか。
とすれば、Wiiリモコンよりも通常のコントローラーが劣っているという結論にはたどり着けない。
Wiiリモコンを使うことがより楽しいとは言い切れないはずである。
これはWiiリモコンを使ってもあんまり楽しくなっていない、という経験と一致するんじゃないか。

しかし、である。
じゃあ、もっと脳みその処理を増やしてやったら良いんじゃないか、という考えは当然浮かんでくるだろう。
指で繊細なコントロールをすることより大きな負荷を掛けるのに腕だけで足りなかったら、他の部分も一緒に動かしてやったらいいのではないか。
腕を動かすだけじゃ駄目。
腰も一緒に、足も一緒に、と増やしていけばより同一性が増して楽しくなる。
これは理にかなっているな。
そして実際の経験とも一致する。

『ハッピーダンスコレクション』において、要求される以上に体を動かしていくことがより喜びを増幅させるのは間違いない。
ゲームとしては、本来的にはセンサーが一杯あって、プレイヤーが動かざるを得ないような状況にした方がイイということなんだろう。
実効がなければ動こうとしないのが人間なんだから。
とすれば、WiiFitとWiiリモコンを合わせて使ってやったりするとより面白くなるだろう、ということは想像に難くない。
実際そういうゲームあるよね、確か。

そのうち、体中にセンサーをつけるゲームマシンが登場するかもしれないな。
でも今はない。
仕方ないから、無けりゃ無いでなんとかする。
そこはゲーマーの腕の見せ所であろう。


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