我が家では大抵夕食を夜の7時ぐらいに食べるのが常であった。 30年ぐらい前の話なのだが。 食卓の脇にはテレビがあって、7時のニュースがいつも流れていた。 ニュースではしばしば、韓国あたりの超絶激しい労働争議が報じられていたものである。 そうすると親父が「30〜40年遅れて日本と同じ事が起きている、民主化すると大抵どこでもおんなじ現象が起きるもんだ」などとつぶやいていたのを私は思いだした。 それは『螢幕判官 Behind the Screen』というゲームをやっていてのこと。 『返校 Detention』が面白かったので、また台湾モノに手を出してみたのだが、いまいちよく分からなかった、という話をこれから書く。 この『螢幕判官 Behind the Screen』は、父親殺しで捕まったある男性の生涯をミニゲーム形式で追っていく作品である。 ゲーム自体は特にどうという事はない。 問題はお話の方である。 簡単に書くと、我々が凶悪犯だといって叩く犯人にも何かしらの事情があるのに、それを報道しようともしなければ、理解しようともしない、という問題意識の元にこの作品は創られていると思われる。 しかし、これをプレイしてみて、私は着眼が古いと思った。 30年ぐらい遅れている、と。 日本が停滞しているうちに近隣諸国がキャッチアップしてきて、分野によっては追い越されている今、台湾が遅れているなんて滅多に思わないよ。 それでもこの問題意識は、日本だったら1980年代ぐらいの感じかな。 台湾独特の事情が分からないんだ。 権力者に情報をねじ曲げられたり、それをメディアがそのまま報道してしまったり、それに民衆も乗ってしまったり、って事はどこの国でも起こる事だと思うんだ。 だから、こういう問題意識の元に、既に多くの作品が創られてきた。 民度の成熟具合で国よって早い遅いはあるにせよ。 そりゃ台湾だって、いつかは通った道だろう。 でもさ、いくらなんでも古すぎなんじゃないか? いま台湾でこれがホットな問題意識なの?っていう疑問がずっと頭から離れなかった。 なぜ今なのか? 結局最後までやっても、よく分からないままだった。 主人公にも悪いところがあって、あんまり同情する気にもならなかったし。 時代設定を敢えて70年代あたりに置いているところをみると、私が知らない台湾独特の事情があるのかもしれないけどね。 そこが分かれば、また見方が変わる可能性はある。 |