手を振るキャラクターたちを見ていて、涙が出てきてどうしようもなかった。 どうも感動させられてしまったらしい、この『バテン・カイトス〜終わらない翼と失われた海〜』に。 どうしてかな?という疑問が私の中で湧き上がった。 というのも、結構あれだなあと思うことが多いゲームでもあったからである。 この『バテン・カイトス』というゲームは、RPGの戦闘部分がカードゲームになっているところに特徴がある。 あるいは、カードゲームであることを理由付ける「マグナス」という概念が特徴的だと考えたほうがいいのかもしれない。 マグナスというのは、物のエッセンス(本質)をカードに閉じ込めたものである。 カードを切るということは即ち閉じ込めたエッセンスを使うことになるので、ゲームの世界で矛盾なくバトルにカードゲームを織り込むことができるのだ。 それだけでなく、謎解き(クエスト)にも使えるところなんか、「マグナス」っていう概念はすごいなと思った。 ただ、シナリオは結構あれな感じだったのである。 シナリオライターの掌でも踊らされているし、物語の中でも何者かの掌で躍らされ続ける有様で、もうちょっとちゃんとやれよ、としばしば思った。 そういうことを言ってはいけない分かっていながら、「お前がそこへ行かなければ良かったんじゃないの?」とか、ついつい思ってしまう。 プレイヤーは主人公ではなく、異世界から主人公の意識に語りかけてくる精霊という役回りで、時々主人公に語りかけることでゲームは進んでいく。 「お前のおかげだよ」って言われるんだけど、いったい精霊として自分が何をしているのか分からない。 ゲームは面白いけど、結構あれだなと私が思うのも無理のない話である。 でも、結局最後は私は感動していた。 精霊という役どころが物語に直接関与していると感じさせていたのかもしれないし、最後のボス戦が大変だったからかもしれない。 最終的には仲間になっているような気がしてたんだな、きっと。 物語の一番最後、ホントの最後の最後に「どうしてこの世界へやってきたんだ?」と問われることになる。 どうして? そんな事いわれても困る。 私はただゲームがしたかっただけ。 しかし、「一緒に戦ってこれて楽しかったよ」とは答えられた。 「おわり」と表示され、固まった画面を消すのが、久々に寂しかったな。 |