その昔、Winnyが全盛だった頃、ファイル共有で不正に出回っている著作物の量は全体から見ればごく僅からだから宣伝だと思えばいい、みたいなことを言っている大学の先生がいたな、そういえば。 いかにも叩いてくださいと言わんばかりの主張だったけど、その後どうなったのか、フォローしていないから私は知らない。 それはともかく、やっぱり無料で娯楽がばらまかれるのはマズイ。 人間が消費できる娯楽には限りがあるので、タダの娯楽がばらまかれると娯楽市場全体のバランスが崩れてしまうのだ。 平たく言うと供給過剰になるのである。 しかもデジタル著作物は劣化しないから、どんどん貯まっていくんだよね。 需用者が単位費用あたりに期待する効用(満足)が単調増加していく、あるいは需用者が払う気になる単位効用あたりの費用が単調減少していくことは当然のことと言えるだろう。 にもかかわらず、デジタル著作物を保護するための技術的・立法的な施策はこの3年5年ぐらいのスパンでは期待できそうにない。 ゲーム作るのも大変なわけだ。 このところ、PS3版の『アスラズ ラース』をプレイしていた。 「このところ」と言うまでもなく、あっという間に終わるけど。 私は最初からムービーゲーだって知ってて敢えてやったんだが、これが意外に面白かった。 今までのムービーゲーとは、ちょっと違うんだよ。 ムービーゲーと言いながらも、今までのはご褒美的な位置づけだったんだ、ムービーが。 つまんないゲームやらせてごめんなさいって感じで。 ところが、この『アスラズ ラース』はムービーがメインで、ご褒美という位置づけではないのである。 メインはQTEを使った、言うなればシンクロアニメって感じなのかな。 アクション部分は怒りゲージを溜めるためだけに存在しており、上手くプレイしたからどうだってワケじゃない。 QTEだって間違えても関係ないんだよ。 単にプレイヤー側の気持ちが高まるかどうかの問題であって、ゲームを求めているわけじゃなかった。 潔いまでの割り切りだな。 とにかくムービー見てください、という。 実際、声優さんの演技も含めて怒りの映像表現はなかなか見応えがあったよ。 もっと評価されて良いゲームじゃないかと私は思うな。 ただし、費用対効果で言うとあんまり褒めるわけにはいかない。 すぐ終わっちゃうし、見るだけの作品を繰り返しプレイしても、なかなか喜びは得られないよね。 真エンドを見るにはS判定を5個とる必要があるんだけど、やっぱりイヤだったな、2回目やるのは。 こういうゲームをフルプライスで売ると、どうしても高評価は得られないのかもしれない。 ムービーゲーの開発も昔に比べれば、どんどん安くなってはいるんだと思う。 開発環境は次第に整っていくし、ノウハウも蓄積されていく。 ただ、プレイヤーが求める単位費用あたりの効用はどんどん増加していくから、それを上まるスピードで安く作れるようになるかというと、ちょっと難しいような気はするな。 価格を下げたからと言って、劇的に売り上げが伸びるとは限らないし。 これで採算が合うなら、私は全くノープロブレムだと思う。 国内の売り上げでは到底足りていないだろうけども。 エンドロールを見ると、主要言語に対応しているらしき記述があったから、ワールドワイドでは売れていることを願いたいね。 |