Horizon Zero Dawn

人工知能モノはまだ熟れていない 2017_04_14

 

『Horizon Zero Dawn』は面白かった。
何が面白いって、戦闘が面白かったな。
こんなに弓を早く正確に打てるゲームは見たことがない。
しかも弓矢に属性や衝撃を付加できるので、弱点攻撃や装備をはぎ取るなどの戦略性も備えている。
私が嫌いなステルスプレイに関しても、弓を使って遠くからスナイプすればかなり誤魔化せるので、あんまり気にならなかった。
戦闘が面白いからこそ、その戦闘を有利に進めるための狩猟・採集も苦にならない。
メインストーリークリア時点で達成率45%ぐらいだったが、それでもう大満足。

ただし、ストーリーには文句があるんだ。
このゲームについてだけ、というわけじゃなくて、人工知能モノ全般に言えることなのだが。
この件について書くには、このゲームのタイトルにもなっている重要な秘密について書かなければならないので、今後プレイするつもりのある方は読み進めないでください。


いきなり書きます。
このゲームのタイトルである「Horizon Zero Dawn」とは何かというと、遺伝子版ノアの箱舟計画みたいなヤツのプロジェクト名なのである。
ロポットを人間のために働かせる人工知能にエラーだかバグだかがあって、有機生命体をエネルギーにしつつ無限にロボットが増殖を始めてしまった。
ところが、人工知能を止める命令を発効するには暗号を解かなければならなくて、暗号を解く計算が終了する前に生命は全部死滅する。
仕方がないので、遺伝子を保存しておいて、人工知能を止めたあとに生物を復活させようという計画が「Horizon Zero Dawn」なのだ。
この秘密が終盤で明らかになったとき、私はガッカリした。
んなアホな。
そもそもおかしいじゃん、と思ったのである。

例えば、ロボットの世界だったら、アシモフの三原則ってあるじゃん。
アイザック・アシモフは小説家だよ。
学者でもあったらしいが、専門は生化学だった。
しかも人工知能どころか、ロボットすら実在しない時代に、ロボットが発展していったら人間社会とどんな摩擦を起こすだろうかと彼は考えたから、アシモフの三原則を思いついたはず。
ところがですよ。
いま我々が接している人工知能がトラブルを起こすストーリーって余りにも稚拙すぎないか?
我々はもう既に人工知能を知っているのに。
人工知能が将来起こすであろうトラブルを、それも容易に予見できるトラブルを防ぐような手立てをなぜ講じていないのだろうか。
説得力がなさ過ぎる。
いつだったか、グーグルがAIを強制停止させるスイッチを開発したというニュース記事を読んだ記憶があるが、それぐらい当然思いつくでしょ。

人工知能が絡んでくる話って、どうも熟れてない感じがするんだ。
ロボットだって考える部分は人工知能なんだから同じ事のはずなんだが、具体的な形を伴っていないから想像が膨らまないのかな。
ロボットの場合は「=人間」と考えれば想像しやすいってことはあるだろうが。
それにしたって、もうそろそろなんとかせにゃいかんでしょ。
そのうち、人工知能は基本的に暴走しない、あるいは止められるという前提に立って物語は創られるようになるはず。


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