心霊カメラ〜憑いている手帳〜

パッケージ販売の利点 2012_01_15

 

AR(拡張現実)技術って、その存在自体はかなり前から知られていた。
絵本からキャラが飛び出して見える特殊なメガネ、なんてのを初めて見たのは10年ぐらい前だったような気がする、適当な記憶だが。
それを見てすごいと思う反面、だからなんなんだ、と思ったのも事実である。
PS3の『アイオブジャッジメント』なんかが全く流行らなかったのを見てもわかるように、それほど訴求力はなかった。
やはりAR技術が身近になったのは、スマートフォンが普及してきたからだろう。
カメラとプロセッサと液晶が一つのデバイスに収っているから、画像の入力・処理・出力という一連のプロセスを一つで済ませることが出来る。
これは画期的な出来事だったに違いない。

しかし、ゲームに関していえばどうだったか。
スマートフォン関連のことを私は全然知らないんだが、検索してみた感じでは大したインパクトは無かったようである。
やっぱりスマートフォン向けのゲームって、無料とかMAX5ドルの世界だからね。
そんなに手の込んだことは出来ない。
そこいら辺にゲーム専用機かつパッケージ販売の強みがありそうな気がする。

3DSの『心霊カメラ〜憑いている手帳〜』をプレイした。
あまりにも3DSで遊びたいゲーム無くて仕方ないので、パッケージの雰囲気で適当に選んだゲームである。
たぶんカメラ機能を使って霊をやっつけるようなゲームだろうと思っていたが、意外にもAR技術を使った作品だった。
意外だったせいか、すごく面白かったな。

このゲームで主人公は異世界に引っ張り込まれるんだけど、実際には自分の周りがステージになる。
3DSの画面を通して見えないものが見えるようになる、という感覚はなかなか面白かった。
ぐるぐる回りながら写真を撮るのも今はまだ新鮮だ。
付属の冊子を謎解きだけではなく、AR技術を用いてゲームの演出として使ってやったところもいい。
いずれは慣れてしまうのかもしれないが、新プラットフォームの初期作品としては極めて優秀だと思う。

しかしながら、よくよく考えてみると、これって別に3DSでなくても出来るゲームである。
スマートフォンでも創ろうと思えば創れたはずだ。
でも、創られなかった。
これだけきっちりと創るにはそれなりにお金もかかるし、売れる見込みも必要だからだろう。
ネットでは均質な冊子は配布できないし。
プリンターで打ち出して冊子を作らせるなんてのは現実的じゃない。
同一性の観点からは、ゲームの中のものを現実に持ってくるアプローチが有効だということがWii/DS世代でわかったわけだけど、実体を伴うものには必ず流通が必要になる。
プレイヤーに均質な体験を提供する、という意味において、単に先払いというだけではない、パッケージ販売のアドバンテージが明らかになった作品だといえるのではないか、『心霊カメラ〜憑いている手帳〜』は。

正直言って、AR技術の応用にここから更なる発展があるのか、というと私にはわからないが。
据え置きと違ってゲーム機本体を持ち寄れるから、PS3の時とはまた違った展開はあるかもしれない。


<余談1>
このゲームではヒロイン的な女性が頻繁に画面に映っているが、その立ち位置はしょっちゅう変わる。
たぶんシーンの最初にプレイヤーが向いている方向を基準にしているためだろう。
で、自分の部屋でプレイしていると、時々ベッドとその娘が重なるんだよね。
不覚にもイケナイ想像をしてしまいました。
『NEWラブプラス』とかで使ってきそうな気がする。
彼女が自分の部屋に遊びに来た、みたいなシチュエーション。
プレイする自分を想像すると、あまりにもキモイけどな。


<余談2>
このゲームの開発はコーエーテクモゲームスなんだけど、タイトル画面に任天堂と名前が並んでいるとすごく不思議な感じ。
PS2で大きくなったコーエーとXBOXで伸びたテクモが合併して、任天堂から開発を請け負ってるなんて。
時代は変わったよね。


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