AR(拡張現実)技術って、その存在自体はかなり前から知られていた。 絵本からキャラが飛び出して見える特殊なメガネ、なんてのを初めて見たのは10年ぐらい前だったような気がする、適当な記憶だが。 それを見てすごいと思う反面、だからなんなんだ、と思ったのも事実である。 PS3の『アイオブジャッジメント』なんかが全く流行らなかったのを見てもわかるように、それほど訴求力はなかった。 やはりAR技術が身近になったのは、スマートフォンが普及してきたからだろう。 カメラとプロセッサと液晶が一つのデバイスに収っているから、画像の入力・処理・出力という一連のプロセスを一つで済ませることが出来る。 これは画期的な出来事だったに違いない。 しかし、ゲームに関していえばどうだったか。 スマートフォン関連のことを私は全然知らないんだが、検索してみた感じでは大したインパクトは無かったようである。 やっぱりスマートフォン向けのゲームって、無料とかMAX5ドルの世界だからね。 そんなに手の込んだことは出来ない。 そこいら辺にゲーム専用機かつパッケージ販売の強みがありそうな気がする。 3DSの『心霊カメラ〜憑いている手帳〜』をプレイした。 あまりにも3DSで遊びたいゲーム無くて仕方ないので、パッケージの雰囲気で適当に選んだゲームである。 たぶんカメラ機能を使って霊をやっつけるようなゲームだろうと思っていたが、意外にもAR技術を使った作品だった。 意外だったせいか、すごく面白かったな。 このゲームで主人公は異世界に引っ張り込まれるんだけど、実際には自分の周りがステージになる。 3DSの画面を通して見えないものが見えるようになる、という感覚はなかなか面白かった。 ぐるぐる回りながら写真を撮るのも今はまだ新鮮だ。 付属の冊子を謎解きだけではなく、AR技術を用いてゲームの演出として使ってやったところもいい。 いずれは慣れてしまうのかもしれないが、新プラットフォームの初期作品としては極めて優秀だと思う。 しかしながら、よくよく考えてみると、これって別に3DSでなくても出来るゲームである。 スマートフォンでも創ろうと思えば創れたはずだ。 でも、創られなかった。 これだけきっちりと創るにはそれなりにお金もかかるし、売れる見込みも必要だからだろう。 ネットでは均質な冊子は配布できないし。 プリンターで打ち出して冊子を作らせるなんてのは現実的じゃない。 同一性の観点からは、ゲームの中のものを現実に持ってくるアプローチが有効だということがWii/DS世代でわかったわけだけど、実体を伴うものには必ず流通が必要になる。 プレイヤーに均質な体験を提供する、という意味において、単に先払いというだけではない、パッケージ販売のアドバンテージが明らかになった作品だといえるのではないか、『心霊カメラ〜憑いている手帳〜』は。 正直言って、AR技術の応用にここから更なる発展があるのか、というと私にはわからないが。 据え置きと違ってゲーム機本体を持ち寄れるから、PS3の時とはまた違った展開はあるかもしれない。 <余談1> このゲームではヒロイン的な女性が頻繁に画面に映っているが、その立ち位置はしょっちゅう変わる。 たぶんシーンの最初にプレイヤーが向いている方向を基準にしているためだろう。 で、自分の部屋でプレイしていると、時々ベッドとその娘が重なるんだよね。 不覚にもイケナイ想像をしてしまいました。 『NEWラブプラス』とかで使ってきそうな気がする。 彼女が自分の部屋に遊びに来た、みたいなシチュエーション。 プレイする自分を想像すると、あまりにもキモイけどな。 <余談2> このゲームの開発はコーエーテクモゲームスなんだけど、タイトル画面に任天堂と名前が並んでいるとすごく不思議な感じ。 PS2で大きくなったコーエーとXBOXで伸びたテクモが合併して、任天堂から開発を請け負ってるなんて。 時代は変わったよね。 |