「エアギター」といって私の頭に真っ先に浮かぶのは金剛地武志なのだが、知らないうちに金剛地武志の上をいく日本人が登場しているそうだ。 なんでも国際大会で2年連続優勝したとか。 2年連続4位だと頑張ったね、って思うけど、2年連続で優勝したと聞くと、大人げない、地元の空気読めよ、という気がするから不思議である。 まあ、外国人に優勝させたい雰囲気もあったんだろうけど。 それはともかく、いつの間にかエアギターという言葉もすっかりメジャーになった。 もともとみんなやってたけど、恥ずかしくて人前で出来なかっただけだから、潜在的な力は備えていたのだと考えられなくもない。 確かに音楽を聴いていると、つい宙を掻き鳴らしてしまうものだ。 エアギターから発想して何らかのゲームにたどり着こうと考える人がいるのも無理からぬ事である。 7月に発売された『Air Guitar PRO』はちょっと試してみたいオモチャだった。 『Air Guitar PRO』は弦を弾く代わりに赤外線を指で遮ることで音を鳴らす電子楽器玩具である。 私はこのおもちゃをバイオリン玩具の『evio』みたいなものだろうと思って購入したのだが、どうしてどうして全然違う。 一音一音、左手の親指とその他4本を駆使して鳴らしていくのである。 アマゾンで予約して発売と同時に手に入れたので、現在売っているものと同じなのかわからないが、マニュアルもなんにも入っていない。 直感的に、「無理っ!」と思ったな。 しばらくほおって置いて、最近またチャレンジしてみたのが、やっぱりこりゃ駄目だ。 さっぱり解らない。 そういえば、前にも同じような失敗をしたことがあったな・・・。 あまりにも愚かだった。 とはいえ、折角なので私がプレイによってたどり着いた結論を書いておきたい。 おそらくエアギターより面白いエアギターをモチーフにしたゲームは現れないだろう。 『Air Guitar PRO』を楽しめなかった私は、これを必死に書かなければならないのである。 2回続けて必死過ぎなのだが・・・。 我々は音楽を聴いてのってくると、思わずギターを弾いているような動きをしてしまう。 このとき手は何らかの法則に従って動いているわけではない。 リズムぐらいは合っているかもしれないが、およそ動いているだけである。 つまり極めて負荷が小さい状態だといえるだろう。 ところが、曲とシンクロして実際に自分が弾いているような気分になると、これは凄く楽しい。 これは小さな負荷を乗り越えることで大きな喜びを得ようという我々が普段遊んでいるゲームの世界と同じ感覚で捉えられるんじゃないか。 エアギターは喜びの増幅率が極めて高いゲームといえるだろう。 ただし、音から得られる喜びは繰り返し聞いていると次第に減少していくから、いつまでもエアギターで楽しめるわけでもないが。 世の中は上手くできているのである。 そう考えればエアギターをモチーフにした玩具には、実際にギターを弾くことより負荷を極めて小さくする事と、実際に耳から入ってくる音楽によって得られる喜びを大きくすることが必要だという要件が得られるだろう。 この要件と『Air Guitar PRO』を照らし合わせてみると、やはり負荷が大きすぎるし、耳から入ってくる音は原曲とは似ても似つかぬものであり、喜びの増幅率として極めて小さいと考えられる。 おそらくエアギターより面白いエアギターをモチーフにしたゲーム(玩具)は登場しないんじゃないか。 基本的に音だけだから出力を豪華にすることが難しいばかりか、原曲より上手く弾くこともシンクロすることもまず無理だ。 負荷を乗り越えることによって得られる喜びを大きくしようと思えば、結局ギターそのものに近づくしかない。 どう考えても、エアギターより楽しくはならないように思えてならないのだ。 エアギターって意外と偉大だよ。 更にいえば、エアギターの競技者というのはパフォーマンスを入れることにより喜びを大きくしているわけだから、素晴らしいゲーマーと言えるかもしれない。 だって一番大切なことは、最終的に大きな喜びを得ることなんだからね。 |