ギャルゲーが大ブレイクすることは今後二度とないだろう、というような話を以前書いたはずである。 『トゥルーラブストーリー』あたりから負荷をかけないで情報(喜び)だけを与えるような作品が主流になり、結果的に負荷をかけることが出来なくなった。 楽して情報が得られるようになると、ギャルゲーマーが耐えてもいいと思う負荷の相場が著しく下がってしまうからだ。 しかし、ゲームをしているんだという体裁をとらないと、普段ギャルゲーをやらない連中はプレイしようとしない。 だから、かつて「ときメモ」がブレイクしたような事態は二度と起こらないと私は予言したのだけれど、逆に言えば、負荷をかけられるのであればブレイクする可能性があるということにもなるはずである。 ところがここで困ったことに、ちゃんと負荷をかけているのにブレイクできないゲームに出会ってしまった。 ブレイクするための条件を更に加えなければならないかもしれない。 XBOX360用の『アイドルマスター2』がただみたいな値段で売っていた。 PS3版が発売されたから人気がなくなったのかね。 一番の巨乳キャラが外されてたから私は興味がなかったんだけど、まあ、ただ同然ならプレイしてみてもいいかと思った。 そしたら、意外に面白かったな。 思いがけず全キャラ攻略してしまった。 ここだけの話だけど、360の実績で満点なのは、この『1』と『2』だけですよ。 この『アイドルマスター2』は、結構真面目にゲームをやらせる。 個々のミニゲームが特別難しいわけじゃないけど、パーフェクトエンドを見ようと思うとそれなりに大変だな。 最初のリリースで20位に入らないとスケジュール的に厳しいが、最初のうちは衣装やアクセサリーが全然足りない。 発売されたばかりの頃はパーフェクトの条件も分からなかっただろうから、初期のプレイヤーはかなり苦労したんじゃないかと想像する。 これぐらいしっかりプレイさせるギャルゲーはちょっと珍しいな、今となっては。 ひょっとすると、ダウンロードコンテンツを買うインセンティブを高めるために、初めのうちは少し苦労させる意図があったのかもしれない。 でも、これじゃやっぱりダメかな、とも思う。 一番問題なのは、プレイヤーがどこを見ているのか、という点だ。 練習せよ、オーディションにせよ、プレイヤーは概ねタイミングマーカーみたいなのを見ていて、キャラを見ていない。 ゲームをすることが喜びに直接つながっていないな。 だってキャラが踊ってるところを見たいわけでしょ。 で、プレイの合間とか終わってから、キャラを見る時間を別途設けてある。 ゲームと喜びが分断された状態で提示されているんだ。 これだとゲームしてないときにプレイヤーが素に戻ってしまうから、ギャルゲー属性がない人だとたぶん拒絶反応が出るだろう。 別途に時間をとるから、喜び密度の観点からも合理的とは言えない。 テンポが悪いからイライラするけど、ステージに上がる前に口元を見てかけ声を判断する部分なんかは、ギャルゲーにとっての負荷の性質としては良かったと思う。 キャラを見てるからね。 こうしてみると、ギャルゲーがブレイクする条件として、ただ単に大きな負荷が掛かっているというだけでなく、負荷と喜びが結びついていることを加える必要があるんじゃないか。 負荷を乗り越える喜びが直接キャラクターへの思いにつながるようにすることは、置き換えの対象によっては難しいかもしれない。 それでも空間的かつ時間的に負荷と喜びを重ねておく工夫はいるんじゃないかな。 もっとも、この『2』は文字通り続編だから、どうやってもブレイクするはずはなかったんだろうけど。 |