CLAP HANZ GOLF_3

世界一を目指した一週間 2021_06_14

 

完全に出遅れた。
ずっとプレイしていたのに、『CLAP HANZ GOLF』がアップデートされていることに気付かなかったのである。
世界大会が実装されていたのに!
3週間前から大会はスタートしており、私が気付いたときには残り一週間だった。
しかもトップは既にハーフで-13をたたき出していた。
ゴルフゲームでは、原則全てバーディー、ロングホールはイーグル、が基本。
つまり-11がベースラインだ。
-13ということは、9ホールでチップイン(ホールインワンを含む)が2回発生している事になる。
普通であれば、これを逆転することは難しい。
しかし、『CLAP HANZ GOLF』はやや事情が異なって、思い通りに打てない代わりに得意クラブだけはチップインが発生しやすい。
ひょっとしたら出来るかも、と私は思った。
やるなら第一回大会しかない、とも思った。
参加者が増えれば増えるほど優勝は難しくなるはず。
やるなら今しかない!
この一週間、私は世界一を目指してプレイすることになったのである。

やってみると、すぐに-11は出た。
第一回大会だけあって、一番簡単なコースが採用されているから、これぐらいは当然である。(ただし、DS4は必須。安い互換コントローラーだと精度が出なかった)
しかし、何回やっても-11しか出ない。
漫然とやっていてもスコアが伸びる気配はなかった。
やはり対策を練らないと。

真っ先に思いついたのは7番ホール。
パー4だが319ヤードと短い。
しかも左ドッグレックの外側が高くなっており、キックしてボールがグリーンに乗りやすいのだ。
今まで9番ロングホールを担当していた一番飛距離が出るキャラを7番担当に替えた。
このゲームではサイドスピンをかけると飛距離が伸びるので、思いっきりスピンをかけて打てばなんとかなりそうだった。
でも、少し足りない。

ここで私は重要なことに気付くのである。
レベルを上げてない!、と。
サバイバルモードと違って、世界大会ではキャラのレベルがそのまま反映されるのだ。
しかし、全キャラのレベルを上げる時間なんてないよ。
もう仕方がない。
スコアを伸ばせそうなホールを担当するキャラだけ必要に応じてレベルアップすることにした。
7番を担当するバーバラのレベルを28まで上げることによって、5回に1回ぐらいはイーグルが取れるようになったのである。
これによって-12は実現できた。
順位は5位タイ。
しかし、ここまでで残り5日を切っていた。
しかも、トップは-14に伸びていた。

次に思いついたのは2つのショートホール。
ショートホールをホールインワンするのが一番手っ取り早いであろう、と私は見込んだ。
そのために得意クラブがホールにピッタリ合うキャラを選んで、更にそのキャラのレベルを上げていく。
しかし、キャラによって精度やカップ周りの甘さが違うので、なかなか思った通りには行かない。
8番ホールで10回に1回、3番ホールで20回に1回ぐらいホールインワンを出せそう、という程度までしか確度は上げられなかった。
とにかく試行回数を増やして、ホールインワン+7番イーグルを狙うしかない。
なんとか-13を達成したときには、もう残り2日。
順位は3位タイ。
トップは-15に伸びていた。

残り24時間切ってもスコアは伸びる気配がなかった。
もう致し方ない。
1番ホールをチップイン出来たときだけプレイし続ける作戦に切り替えた。
それまでは第一打の飛距離を稼いで、出来るだけアプローチを短くする作戦だったのだが、飛距離を捨てて得意クラブが6番アイアンのキャラを起用したのである。
当然そのキャラは育てていなかったので、急遽レベル上げをやることになった。

そして残り18時間を切ったところで大チャンス。
1番チップインイーグル、7番イーグル、8番ホールインワン、ときて、-12で最終ホールを迎えたのである。
第一打を無難に打ち終えて、問題の第二打。
得意の4番アイアンでチップインアルバトロスを狙うか、無難に6番アイアンでイーグルを狙うか。
最終ホールは打ち上げになっていて、ボールが止まりにくい。
ミスるとイーグルを逃す可能性が高いのだ。
比較的計算通りにここまで来たことを考えると、まだチャンスはある、とこのとき私は思った。
私は無難に6番アイアンでイーグルを取って-14。
2位タイに浮上した。
トップは変わらず-15。

ここから先、私は思ったようにプレイできなくなっていった。
疲れていたのか、飽きていたのか。
1番のチップインが全然出ない。
あまりに上手くいかないので、チップインがでなくても続けてプレイしてみたが、得意だったはずの8番すらホールインワンが出なくなっていた。

残り8時間になったときに最後のチャンスが訪れた。
1番チップインの後、ホールインワンは出なかったが、2番で奇跡のチップインアルバトロス、7番を手堅くイーグルでまとめて迎えた最終ホール。
第一打を無難に打ち終えて、問題の第二打。
もう一回-14を出しても意味がないので、当然4番アイアンでチップインアルバトロスを狙う。
使っているキャラが「バックスピン得意」を持っているので、ラン(転がり)を稼ぐために弾道を高くは出来ない、打ち上げなのに。
転がらないとチップインする確率が下がるからね。
向かい風と打ち上げを計算に入れて、転がる程度に少しだけ高めの弾道で私はアプローチを打った。
打った瞬間、ちょっと左だと思ったな。
カップ左、1メートルほどのところでボールは止まった。
悪いアプローチではなかったが、惜しくもなかった。

結果的にはこれが最後のチャンスだったのである。
もうこの後、最終ホールを-12で迎える事はなかった。
結果、2位タイに終わった。
世界一になるのはやはり難しい。
参加者は5千人ぐらいしかいなかったし、その中でも真面目にやってたのは十数人しかいなかっただろう。
それでも勝てない。
自分より上手い奴はいるし、努力してるのは自分だけじゃないし、たまたま運が良い奴がいることもある。
勝負事ってのは、そういうもんなんだ。


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