ハードウェアに制限があった方が面白いゲームは生まれやすい、といった主張を目にすることはしばしばある。 一方で、マシン性能は高いに越したことはない、という主張も当然に存在する。 これらの主張は一見相反するように思われる。 しかし、これらに対する答えは明瞭であって、開発リソースが無限であればマシン性能は高ければ高いほど良い、になるだろう。 ただし、実際には開発リソースは有限なので、創り手は配分を最適化しなければならない。 ところが、マシンパワーに目がくらんで配分を間違えることが極めて多いのだ。 それが故に、ハードウェアの制限はあった方がイイという主張が生まれるのだと、私は推測する。 ところで、『2064: READ ONLY MEMORIES』の話をこれから書く。 これは、このゲームの世界で初めて創られた自律思考型ロボット・チューリングを巡る物語。(チューリングテストのチューリング) ジャンルでいうと、サイバーパンクアドベンチャーなのかな。 『スナッチャー』を思い出させるシーンは随所に見られた。 終盤の展開は若干納得いかないところもあるが、なかなか楽しかったよ。 レスポンスがあまりにも悪くて、最初は3分で投げ出して、そのままずっと放置されていたのはナイショ。 かなり有名なゲームらしいので、内容についてはご自分で調べてください、興味があれば。 私が気になったのは、アンバランスなほど荒いCG。 スーファミレベルですよ。 ここまで荒いと却って手間がかかるはず。 線画を取り込むことは出来ず、ドッターさんの仕事領域になるだろう。 たぶん、今どきのCG偏重の風潮に反感を持っていたんじゃないかな。 その代わり、なぜかフルボイス(英語)。 しかも、チューリングがよく喋るんだ。 プレイヤーが質問してみたい気の利いた選択肢が一杯用意してあって、それに逐一チューリングが答えてくれる。 それによって、自律思考できるチューリングという存在が自分の中で立ってくるし、世界観も固まってくるんだよ。 これが凄く良かった。 プレイするほどにリアリティを感じたな。 おそらくこれは野心なんだろう。 CGを敢えてドット調にして、プレイヤーのイマジネーションに委ねたように見せかけて、他の部分を作り込んでいく手法。 他の人がやっていないことをやってやろうという思いはあったはず。 そして、これは見事に成功している。 CGにばっかりお金をかけている開発者は思うところがあるんじゃないの?、これをプレイしたら。 ある意味、この『2064: READ ONLY MEMORIES』自体が問題提起だとも言えるはず。 |