密室のサクリファイス

2010年のPSP 2017_07_18-19

 

GooglePlayを見てると、無料の脱出ゲームが一杯あることに驚く。
試しにやってみると、無料の割には意外とよく出来ていて更に驚く。
広告もなしにどうやって儲けているのか知らないが。
趣味で創っている人が一杯いるのかな?
我々にとっては有り難い反面、メーカーさんにしてみると弱った話だな。
脱出ゲームそのものでは、もうお金は取れない。
となれば、何か別のところで価値付けをしなければならないだろう。
おそらくその何かは、その時々の価値観に委ねられるはずである。

ところで、このところ『密室のサクリファイス』という脱出アドベンチャーゲームをやっていた。
PSPでやり残したゲームがないか調べていたときに見つけて、前からちょっと気になってはいたんだ。
なんにもゲームが発売されなくて困っていた6月のフリープレイに入っていたから、ちょうど良いタイミングでもあった。

このゲーム、基本は短い脱出ゲームの集合体のような構成になっている。
一つ一つの謎解きはかなり難しかったり、当たり判定が小さくて意地悪だったりするのだが、捜索範囲が狭く、手順が少ないので、プレイしやすい印象はあった。
その短い脱出ゲームをストーリーで接着することによって価値を創り上げていく。
夢の中で過去を改変できてしまう少女を中心にした5人の登場人物それぞれのお話で。
価値付けの方向性としては間違ってないと思うんだ、『9時間9人9の扉』なんかと似たような感じで。
2010年のPSP向けということで、ギャルゲー風味にしたんだろう。

最初はまあまあ面白いと思ったんだ。
しかし、話が重くなってくるに従って、どんどんプレイしたくなくなっていった。
ミスマッチなんだよな、内容と味付けが。
大げさなテキストに危機感を煽るようなBGM、そこに20年前のエロゲーみたいな絵柄のキャラとそれに合わせた音声が加わると酷く気持ち悪い。
そもそも私がこういう話を好まないせいもあるんだろうが、とにかく謎解き以外の部分をやりたくなかった。
しかも、最後の方はキャラごとのエンディングを見るために、通過するお話の順序を変えてやらなければならなず、同じ話を何回もやるハメになる。
これも辛かった。
PS+の期限がいよいよ迫ってきて、何とかトゥルーエンドまでやろうとしたが、最終的には挫折した。

なんせ2010年のPSPだからな。
ギャルゲー風味が受けると判断することも間違いとは言い切れないし、今よりはプレイヤーに負荷を強いることも多少は許されただろう。
涼宮ハルヒブームの余韻もまだ残っていて、こういうお話が喜ばれるという読みもあったかもしれん。
でも、今はやっぱり違うんだな。
もうこんな話は飽き飽きだろ。
2017年には2017年の価値付けが必要だ。
PSVitaの消滅がほぼ確実視され、3DSもそろそろ寿命迎えつつある今に相応しい、別の価値付けが。
それがなんなのかが分かれば誰も苦労はしない。
もちろん私にも分からないが、もうちょっとリアリティのある話にした方がいいんじゃないかとは思うね。
SFやファンタジーに逃げすぎじゃないかな。
まあ、目新しい謎解きを創るには、オーバーテクノロジーや架空の世界観があった方がやりやすいんだろうけど。


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