『ボイド・テラリウム』にはエンディングが二つある。 アイツが出てきた時点で、ある程度は予測できてたんだけど。 最後にどっちを採るべきか、迷ったんだよな。 その話を書きたいのだが、当然エンディングそのものについて書くことになるので、これからプレイするつもりのある方は読み進めないで下さい。 あれは中盤過ぎあたりかな。 汚染源だった中ボスを倒したことによって、クラウドAIと連絡できるようになった。 コイツは今まで相談相手になってくれたファクトリーAIとは別の、より上位のAIらしい。 で、トリコちゃんについて、いろいろ口を挟んでくるんだ。 まあ、大体想像はつくよね。 トリコちゃんを保護ポッドみたいなのに入れて、クラウドAIのところまで連れてこい、とか言ってくるから。 つまるところ、人類再興のためにトリコちゃんを使うと言い出すのである。 人類を生産するための種として。 エンディングへ向かうダンジョンに入る前にセーブポイントがあって、ここで私はいったんプレイを止めた。 一晩考えたね。 トリコちゃんを差し出すべきか、人類が絶滅してもトリコちゃんに寿命を全うさせるべきか。 結構苦労したから、それなりに思い入れも出来ていたんだろう。 やっぱり私は主人公キャラの気持ちになってみるのが妥当だろうと思った。 自分は偶然自我に目覚めたロボットなのである。 そうすると疑問を抱かずにはいられない。 人類を再興させることに、果たして意味があるだろうか、と。 所詮はロボットだから、いつかは壊れるわけでしょ。 永遠には生きられないよ。 そしたら、自分にとってはトリコちゃんが全てじゃん。 トリコちゃんを生かした上で出来ることがあればやってもいいけど、トリコちゃんがサンプル扱いされるのは我慢ならないだろ。 トリコちゃんは渡せない! クラウドAIに逆らう、と決めて、私は翌日プレイを再開した。 もっとも、一回目はフラグ立てに失敗して、人類を再興する方のエンディングに辿り着いてしまった。 クラウドAIにはクラウドAIの正義がある、ということはエンディングを見ることによって理解できるので、これはこれで悪くなかった。 こっちは関数に「0」が入ったエンディング。 2回目はフラグ立てに成功して、クラウドAIを倒すエンディングに到達した。 死んだと思っていたファクトリーAIさんも生き延びていたようで、私も概ね納得のエンディングであった。 こっちは関数に「1」が入ったエンディング。 ここで、ああ、そういうことか、と気付くのである。 タイトルに「void tRrLM();//」が入っているのは、最初から伏線を張ってたのか。 プログラムの世界では大抵、「0」はfalseで、「1」はtrueなのである。 つまり、トリコを生かす方がトゥルーということなのだろう。 もっとも、そんなのは定義次第なので、「1」がtrueとは限らないとも言える。 そう思えば、どちらがトゥルーなのかはプレイヤーにお任せします、という意思表示なのかもしれないね。 |