Through the Darkest of Times

シリアスゲームなら何でも許されるのか 2020_09_06



俗に「シリアスゲーム」と呼ばれるジャンルがある。
娯楽目的だけではなく、教育や問題提起、社会問題の解決などを目的とするゲームのことである。
世の中には色んなゲームがあって良いわけで、シリアスゲームももちろんあってイイ。
しかし、シリアスゲームなら何でも許されるのかというと、そうでもない気がするんだ。


『Through the Darkest of Times』というゲームがある。
ヒットラーが首相に就任してからナチス政権が倒れるまでの間、一民間人である主人公達がレジスタンス活動をするゲーム、ということになるのかな、内容を簡単に説明するならば。
ちょっと話題になった作品だったので、私もその存在は知っていた。
買うきっかけになったのはセールだったな。
なんか買わないと勿体ない気がして。

特徴的なのは、個人レベルのレジスタンス活動をするところだろうか。
あんまり大きなイベントは起きない。
その代わり、近所の気の良いおばさんがナチスを徐々に支持していく様子であったり、子供がナチスに感化されていったりという、身近なエピソードを体験できる作品であった。
ヒットラーが死ぬところなんか、新聞の見出し一行だけ。
『Through the Darkest of Times』というタイトルが示すように、如何に理性を保って暗黒の時代を生き抜くか、という体験をさせるゲームなんだ。
自分はどうあるべきか、という問いかけだよね。
これぞ正しくシリアスゲーム。

ここまで書いたところからすると、褒めなきゃいけない感じがするでしょ。
でも実は全然面白くないんだよね、このゲーム。
もの凄い地味なの。
レジスタンス稼働の支持者集めや寄付金集めが基本的な仕事。
派手な活動をするとすぐナチスに目を付けられてしまうので、やりたくてもあんまり出来なかったね。
というか、大きな歴史の流れは変えられないから、たぶん何をやっても無駄なんだよ。
せいぜい仲間の家族を助けたり、知り合いのユダヤ人を逃がしてやるぐらいの話。
ホントにやった甲斐のないゲームだった。

実をいうと、これを褒めないと人間としてどうなんだろう、みたいな強迫観念に囚われる自分をちょっと感じているんだ。
でも、やっぱり面白くないからなあ。
お金を払っている以上、シリアスゲームなら面白くなくてもイイというのも違う気がするのである。
だって、同じ内容の本を読んだって良いわけでしょ。
そうなると、よほど安いとか、よほど手軽だとか、何かメリットが必要だった気がするな。
少なくとも、10%offで買って満足する内容では無かった。


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