保険 2003_10_30

保険 2003_10_30

 

何か物足りないな、という気がしていた。
朝の楽しみがない。
MLB(メジャーリーグベースボール)は終わってしまったのだ。

今年は早い段階で巨人がペナントレース争いから脱落してしまったが、私はあまり寂しくなかった。
なぜならば、毎日松井の活躍する姿を見ることが出来たからである。
朝起きたとき既に試合が終わっていることもあったし、仕事に出てきてから試合が始まることもあったが、毎日スポーツ関連のウェブを見るのが楽しみだった。
「今日はホームラン打ったかな」と、ウェブを見るときのワクワク感が堪らない。
今年は松井一人に救われたな、という印象である。
まあ、滅多にホームランは打たなかったわけだが。

ポストシーズンに入ってからはより楽しかった。
ヤンキースの神懸かり的な強さ。
それに松井が貢献しているんだから。
松井がジャンプして喜ぶ姿なんか、日本にいたとき見たことない。
見ているこっちが嬉しかった。

阪神対ダイエーの日本シリーズなんか全然気にならなかったな。
実際のところ、半分も見なかった。
巨人ファンはプロ野球ファンたれ、などと一応思ってはいるのだが、やはり人間は正直なものである。
こっちの方は私に全く喜びを与えてくれなかった。

人間は楽しみがないと生きていけない。
大昔の人は盆や正月、あるいはお祭りなどを楽しみにして、苦しい日々に耐えた。
貧しい暮らしの中から僅かでも蓄えを作って、来るべき喜びの日を待ったのである。
私は松井が活躍するのを夢見て朝が来るのを待った。
別に苦しい日々を生きているわけではないのだが。

今年はたまたま松井が大リーグに行ってくれたおかげで私の心は救われた格好になった。
どうやら楽しみはいろいろ作っておいた方が良いようだ。
来年巨人が優勝する保証ないし、松井も活躍しないかもしれない。
やはり何か保険をかけておかないと。
もっといろいろなことに興味を持たないといけないんだろうな、とは思っている。


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