何か物足りないな、という気がしていた。 朝の楽しみがない。 MLB(メジャーリーグベースボール)は終わってしまったのだ。 今年は早い段階で巨人がペナントレース争いから脱落してしまったが、私はあまり寂しくなかった。 なぜならば、毎日松井の活躍する姿を見ることが出来たからである。 朝起きたとき既に試合が終わっていることもあったし、仕事に出てきてから試合が始まることもあったが、毎日スポーツ関連のウェブを見るのが楽しみだった。 「今日はホームラン打ったかな」と、ウェブを見るときのワクワク感が堪らない。 今年は松井一人に救われたな、という印象である。 まあ、滅多にホームランは打たなかったわけだが。 ポストシーズンに入ってからはより楽しかった。 ヤンキースの神懸かり的な強さ。 それに松井が貢献しているんだから。 松井がジャンプして喜ぶ姿なんか、日本にいたとき見たことない。 見ているこっちが嬉しかった。 阪神対ダイエーの日本シリーズなんか全然気にならなかったな。 実際のところ、半分も見なかった。 巨人ファンはプロ野球ファンたれ、などと一応思ってはいるのだが、やはり人間は正直なものである。 こっちの方は私に全く喜びを与えてくれなかった。 人間は楽しみがないと生きていけない。 大昔の人は盆や正月、あるいはお祭りなどを楽しみにして、苦しい日々に耐えた。 貧しい暮らしの中から僅かでも蓄えを作って、来るべき喜びの日を待ったのである。 私は松井が活躍するのを夢見て朝が来るのを待った。 別に苦しい日々を生きているわけではないのだが。 今年はたまたま松井が大リーグに行ってくれたおかげで私の心は救われた格好になった。 どうやら楽しみはいろいろ作っておいた方が良いようだ。 来年巨人が優勝する保証ないし、松井も活躍しないかもしれない。 やはり何か保険をかけておかないと。 もっといろいろなことに興味を持たないといけないんだろうな、とは思っている。 |