エッセイ・四角い箱から

 
第21回 『旅の七つ道具』
 


 サッカーツアーで何度も海外旅行をすると、だんだん旅なれてくるのだが、それでも「あ あ、これを持ってくれば良かった」と思うものがある。以前中央アジアに行ったとき気が付い たのに、今回すっかり忘れていたのが、一番小さいペットボトル。外国に行くと水は買って 飲むもの、それはいいのだが、あまり水分をとらない私にとって500CCのボトルは、もって 歩くには多くて重い。それに国によってはボトルの質が悪く、割れたり(!)漏れたりする。 そこで、日本製の丈夫で小さいペットボトルが必要なのだ。パラグアイでは、競技場で売っ ているのはコーラのたぐいかコーヒー又はマテ茶。それらのものが好きではないから、少量 の水が丁度いい。ほんとうは持ち込み禁止なのだが、小さいと隠して持って入れるし。もう 一つ、いつも忘れるのが赤のボールペン。旅行先からよく絵葉書を出す私には、"AIR MA IL"と書くための必須の品。

 それから、持っていって良かったのが、トイレットペーパーとゴルフボール。これはW杯予 選アウェイ日記にも書いたが、中央アジアで役に立った。ペーパーはそのままの用途、ゴ ルフボールは洗面ボウルや浴槽(あればね)の栓。シルクロードに行ったことのある友人に 教えてもらったヒット・アイテムである。ガムテープもあれば便利。混んだ試合会場では、バ ッグを切られたりすることがある。じっさい今回の南米旅行では、2人ばかり被害にあった。 その時の臨時の修理用に。またたくさん買い物をする人は、それを送るときにも使える。

 最近は旅行用品の売り場が充実しているから、電気製品もすぐ手に入るようになった。 電圧の変換器、コンセントの変換プラグ。それらのものが一つになったものもあるらしい。 私のもっているドライヤーは、海外旅行用で240ボルトまで使え、形が平たいのでバッグに しまいやすく、国内旅行にも重宝している。国内といえば、旅行に限らずいつも持っている のが耳栓。音に弱い私にとってなくてはならないもの。眠るときはもちろん、うるさいBGM やヘッドホンから漏れてくる音を防いでくれる。他にも、現地通貨を入れる財布、パスポート をおなかに巻くためのポケット付きのベルト、などなど。

 もちろんこれらは無くてはいられない物ではない。世界中のどこに行っても日本と同じに 過ごすのでは意味が無いし、荷物は少ないほうがいい。ただ、こんな小さな物で旅がより快 適にスムースになるのなら、スーツケースの片隅に忍ばせてもいいかなと思うのだ。家に帰 り、荷物を片付け、旅の七つ道具をもとの場所に戻しながら、次にそれを使う日に思いを 寄せる私である。

 
99年7月27日UP

着物deサッカー