■漢方薬

ここ数年、西洋医学ではなく東洋医学が注目を集めている。
その中でももっとも代表格なのが、様々な物を薬として人々を治癒させる「漢方薬」では無いでしょうか?その漢方薬はいったい、いつ頃の日本から存在し、人々に使われてきたのでしょうか?別に改めてここでそのルーツを調べる物ではありませんが、少なくとも戦国の時代に、少量なりとも存在していたらしいのです。
ここでは、その話をちょっとさせて頂きます。

甲斐の武田信玄が、戦場にて兵士が病気やいくさで怪我を負った際になどに、漢方薬を用いていたようです。

これは山梨県の郷土史研究家が「武田家所蔵文書」を調査してわかったらしい。
この文書自体は享和二年に、信玄六男、信清から信副にのこしたものとのこと。

この文書の中にかかれていた内容はこうだ。

「甲州武田左京太夫晴信軍中手追薬万病」

の書き出しで

「此薬天下ニ類無」

とも書かれている。
また合戦に際して用いる漢方の成分はこうだ。

四匁但両事也にんちん」「百匁竹島にんちん」「二匁かんぞう」

但両事也にんちんとは、朝鮮ニンジンの事。
竹島にんちんとは、国産ニンジンの事。
かんぞうとは、甘草の事らしい。

そもそも朝鮮にんじんの栽培が国内で始まったのが、徳川吉宗の時代の享保年間になってのこと。それでも生産量はごく少なく、徳川時代でも大変貴重な物であったのには変わらないだろう。

武田軍の強さの秘密が、ここにもあったのかもしれない。

▲「戦国のはなし」トップへ戻る