豊島で民泊、楽しい休日 2023.11.1617

われら≪まぬけカヌークラブ≫。昨年亡くなられた野田知佑さんにも公認いただき全国の川を旅してまいりましたが、近年それぞれの事情もあり活動が控えめとなっておりました。今年はコロナも5類に移行したこともあり、久しぶりに旅へ出ることとなりました。今回のメンバーは桂くん、くぼっちと私の3人。3人足せば180歳、還暦祝いの一泊旅行。青春の情熱を取り戻す旅へ、いざ出発だ!

今回の目的地は瀬戸内、香川県にある豊島。美術館を巡り民泊でゆっくり過ごし、産廃についての勉強をしようという企画。岡山県の宇野港で待ち合わせ、フェリーてしまに乗りこみました。

1.家浦散策

家浦港についたのはお昼前の11時50分、『てしまガイドブック』で紹介されている豊島鮮魚で魚料理をと思っていたのですが、残念ながら閉まっていたので、道路を渡った先にあるタカにゃん食堂へ。メニューは日替わり定食一つですが、「豊島内で唯一お刺身を出すのはここだけなんですよ。始めたばかりで『てしまガイドブック]』に載ってないんです」と店主。頑張ってほしいです。店主の話によると、豊島鮮魚は週末しかやってないそうです。

食後、腹ごなしに家浦地区を3人でプラプラ歩いて散策しました。海岸線を進み、左に折れ集落の中へ。突然、派手な建物が現れ、躊躇なく入館。豊島横尾館です。横尾忠則氏の作品がたくさん展示されています。

 

たくさんのオリーブが植えられ、きれいな実がついていました

 

峠を越え甲生地区から島の南側には瀬戸内海の美しい景観が広がります。


真ん中は五剣山、四国本土


男木島、細長い島ですが三角に見えます


彼方に瀬戸大橋(北備讃瀬戸大橋)

 

2.唐櫃地区、豊島美術館

14時、予約をしていた豊島美術館へ。受付を済ませ、芝生の庭で一休みしてから、ぐるりと山道を巡って、用意されているシューズに履き替え館内へ。広い館内には水がしみ出す噴き出すオブジェ。なんだか不思議な感覚。あちこち場所を変え見入っているうちに、あっという間に30分くらい経ってしまいました。

 

唐櫃地区散策

     

唐櫃の清水、弘法大師ゆかりの湧水です

荒神社の鳥居

オブジェ「空の粒子」

オブジェ「勝者はない」
       
 


コスモス揺れる棚田


 

3.民泊 緋田さん家

この日は、家浦地区にある緋田(あけだ)さん家で民泊。畳の間に大きな応接台、ふすまを隔てた隣の間には布団を敷いてありとっても落ち着きます。おばあちゃんの家に泊まりに来たような居心地の良さです。「少しぐらい賑やかでも平気ですよ」って言って頂いていたので、持ち込みのビールやウイスキーを夜更けまで楽しくいただきました。今度は学生時代の下宿を思い出しました。

翌朝はオプションでお願いした朝食。台所で少しお手伝いをするという条件ですが、高いクオリティとボリュームに大満足。これが500円とは、信じられません。

 
     
 

 

4.産業廃棄物不法投棄現場見学

緋田さん家をあとにし、歩いて家浦港へ向かいます。産業廃棄物施設見学の予約は朝9時。豊島交流センター内、広いフェリー待合室の先、細長い廊下左側にある事務所で受付を済ませ、表にある見学用の車に乗りこみます。運転そしてご案内いただくのは石井さん。「どうして見学に来ようと思ったのですか」との石井さんからの質問に始まり、会話を弾ませながら車は現地見向かいます。4人が乗る車は細い山道を抜け現場へ。いよいよ旅のメインイベント、胸が高鳴ります。車は頑丈な鉄のゲート前でストップ。ここから先は一般の人は立ち入ることができません。車の中からゲートの写真を撮ろうとカメラを構えると、石井さんから「慌てなくて大丈夫ですよ。カメラのキャップ、付いたままですよ」って、興奮しすぎですかね。

産業廃棄物不法投棄跡地の全体が見渡せるところで車を降り、石井さんからご説明いただきます。昨夜遅くに降り出した雨は既にあがり青空が広がっていますが、雨は冷たい空気をもたらし、昨日までの暖冬から一転、強い北風が吹き抜け寒さが身に沁みます。そんな中、石井さんからとても丁寧に、そして熱く、産業廃棄物が不法に投棄されていた状況、それがどのように撤去され現在に至るのか説明いただきました。

 

眼前の整地された土地は、90万トンもの不法投棄された廃棄物で埋め尽くされていました。その量は、ニューヨークにあった世界貿易センタービルに匹敵するそうです。撤去された廃棄物は、向かいの直島で溶融処理され資源として再利用されました。撤去は完了しましたが、地中に染み込んだ有害物質の状況などまだまだ継続してチェックしていかなければなりません。この広い空間は砂を掘り出した跡なんだそうですが、そもそもこの場所は国立公園に指定された砂浜で、勝手に砂を掘り出したりしてはいけない場所です。

 

場所を移動し、これまでの取り組みが保存・展示されている資料室へ。石井さんからここでも詳しくご説明いただきました。島をあげての長く、苦しい運動の歴史、そして成し遂げられた(「まだまだ道半ば」と石井さん)皆さんのご努力に頭が下がります。あきらめてはいけないんだ。なんだか分からない勇気がこみあげてくるのを実感しました。

石井さんの説明はとても詳しく分かりやすく、理路整然としており、一つ一つ自然な形で体が吸収してきます。「石井さんってこの問題を研究されてきた方かな?」なんて思っていましたが、家に帰ってから調べてみたところ、当事者としてずっと中心的な役割を果たして来られた方でした。石井さん本当にありがとうございました。

 
 
 

産廃不法投棄に対する取り組みについては、石井さんの著書でご確認下さい。
『もう「ゴミの島」とは言わせない 豊島産廃不法投棄、終わりなき闘い』石井亨ISBN978-4-86578-171-7

 

帰ります    


フェリーが家浦港に入港します


出港、交流センターさようなら


先ほど見学した現場を海から

 

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