沙流川 2025.7.2
北海道は日高山脈の熊見山に源を発し、南西方向へとほぼ一直線に太平洋へと流れ下る、総延長104キロの沙流川。良好な水質で、サケやサクラマスが遡上する川として名高い川です。豊かな自然は、古くから人々の生活の地として選ばれ、先住民であるアイヌの人たちの暮らしが営まれてきました。
二風谷ダム
二風谷ダムは河口から20キロ程度のところに建設されています。ダムがある場所はアイヌの聖地で遺跡のあったところです。いろいろ物議をかもしましたが、1998年の完成以来27年が経ちました。その間何度も台風や前線による大雨で洪水が起きているのですが、ダムの効果により被害を軽減できたと考えられています。かつてテレビのニュースで見た、台風による出水でダム間際の二風谷湖が流木で埋め尽くされた映像が強く印象に残っており、「異常事態が発生した」と思い続けていたのですが、流木の下流側への流下を遮り、下流部での流木被害を未然に防ぐ結果となったとのこです。
ダム上流側〜二風谷湖
ダムからは上流側を見ることはできませんので、左岸および右岸からのみの撮影となりました。
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ダム下流側
下流側は景色が雄大になります。上流側二風谷湖の広さからも、狭窄地にダムが作られたことがよくわかります。
魚道
サクラマスを対象魚とした階段式魚道。水路の幅は2mで、固定部の延長は123.4m、可動部延長59.4m。可動部はダム湖面に直接繋がり、ダム湖の水位変動によって上下する仕組み(スイングシュート式)で、全体として水位差46.0mから39.1mに対応しています。魚道の周りには通路が設けられており、自由に見学することができます。
二風谷ダム資料室
ダムに隣接する二風谷ダム資料室を見学しました。パネルで、魚道を使って遡った実績のある魚類が紹介されています。サクラマスについては別パネルがあり、特に大切にされていることが伺えます。魚道内に設置されている隔壁は、上部半分が切り欠かれ魚が通り易くなるばかりでなく、下の隅っこにも穴が開けられ底を行く小さな魚も通れるようになってます。
沙流川歴史館
二風谷ダムを離れ上流側に進むと、先住民族であるアイヌの文化施設を集めた「二風谷コタン」があります。芝生の広場には、人々が暮らした家を再現したチセ、丸太をくりぬいた丸木舟チプなどがあり、二風谷アイヌ文化博物館、萱野茂二二風谷アイヌ資料館といった施設も見学できます。その沙流川(二風谷湖)に一番近いところに「沙流川歴史館」があります。館内には、ダム建設時に行われた二風谷遺跡発掘調査の模様がジオラマで再現されています。外に出ると、沙流川はすぐ近くでした。
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この日は平取の民宿に泊まりました。明けて朝食の際、そこの親父さんが、「私は釣りをするんですよ。この辺でもサクラマスとか釣れるんですよ」と仰るので、「そうなんですか。でも、昨日二風谷ダムの魚道を見学してきて思ったんですが、あんな魚道を遡ってこれないでしょう」と返してしまいました。二風谷ダム資料室で、サクラマスを含む遡上実績の展示を見ましたが、私はまだ信じる気になれずにいました。すると親父さん、「そう思うでしょう。ところが、遡ってくるんでっすよ」って、満面の笑みで答えてくれました。どうやら本当に遡っているようです。