美山川(由良川) 1999.8.28〜8.29
夏恒例の琵琶湖行きの準備をしているところに、「どこかきれいな川で泳ぎたい!」という、海野の声が聞こえてきた。それまで、琵琶湖以外は考えられなかったのが一転、誰一人として琵琶湖を口にすることがなくなり、たちまち「今回は久々にカヌーなしで川に行き、釣りをしながら泳ぎ、遊び回ろう!」ということになった。
ところで、方針は決まれど行くあてがない。「さてどうしたものか」と、途方に暮れているところに、ちょうど読み終わった本の一節が、脳裏をよぎった。
「演習林の入り口にあたる山里は、美山町。私はこの里を、これまで歩いた全国の”美山”と呼ばれる集落の中で、最もその名にふさわしいと思っている。− 略 −この美山町を流れる由良川を、里人は美山川としか呼ばない。− 略 −里人には、美山川が自慢なのである。」(天野礼子『川よ』NHK出版)
ここしかない!早速海野に連絡を取った。
由良川は、京都・滋賀・福井の県境に源を発し、綾部・福知山を経て若狭湾に注ぐ。その中流域に大野ダムがある。ダムがあるのは美山町の西のはずれ。ダムを境に、上流である東側が美山川だ。
京都から車で1時間半。美山町の静原という地区で買い物をした後、そのお店で教えてもらった「美山の水」の工場へ行き、工場の脇の森からほとばしる、天然のミネラルウォーターを、タンクいっぱいに汲み、さらに上流を目指した。
時刻はちょうどお昼で、空腹のあまり、途中にあった自然体験村に、一度は腰を落ち着けそうになるが、「もし全然よい場そがなかったら、ここに戻ろう」ということとなり、再び上流へ向かった。
しばらくして、川沿いのがけの上に、ぽつんと小さなお宮があり、その少し下流に、海野をして「最高のキャンプ地」と呼ばせしめた、美しい河原が隠されていた。
青く澄み切った水の中に、魚達が元気に泳ぎ回る。ライフジャケットを着、水中メガネをつけて、川の中に入る。いるいる!ウグイにオイカワ、鮎もいる。アマゴの姿もある。本当に素晴らしい光景だ。
瀬に巻き込まれて、水中深く送り込まれた真っ白な気泡をめがけて、たくさんの魚が泳ぎよる。しばらく音を立てずに水中に潜んでいると、鮎やアマゴも岩の間から姿を出し、元気に乱舞する。本当に美しい。
2日目、地元の人たちが鮎掛けにやってきた。川幅いっぱいの刺し網を、川の上下に張り、次第に範囲を狭め、大きな石の周りに、全ての魚を追い込む。追い込んだ鮎を、大きな針で引っかけて掴まえるのだ。
鮎掛けの模様
男達が入り乱れて鮎を掛ける姿に魅せられた私は、網の中に飛び込み、仕掛けを貸してもらい、鮎掛けにTry。結局、初心者の私にかかる鮎はおらず、地元の人たちの顔を立てるだけに終わってしまった。彼らの成果は、我々が引き上げる2:30時点で、鮎ばかり30数匹だそうだ。
最後に、鮎掛けに来た地元の女性の言葉を紹介しよう。「演習林でキャンプするときは気をつけなさい。少しでも雨が降れば、たちまち増水するから、すぐに避難しなきゃダメよ。つい先週も、孤立した人たちが出たんだから!」
皆さん、雨中の河原でのキャンプは、何が起こるか分かりません。くれぐれも注意しましょう。
夏のキャンプにはビール!
「またここへ来よう!」