加茂川 2000.2.26〜2.27

四国の最高峰石鎚山系に源を発し、愛媛県西条にて瀬戸内海に注ぐ加茂川。急峻な山を一気に駆け下りた水は、平野にさしかかると、大半が伏流水となり姿を消し、しばらく水が枯れてしまった、荒涼とした河原が拡がる。

一度姿を消した水は、「うちぬきの水」として市内各所から自噴する。この「うちぬき」は日本名水百選にも選ばれている。うちぬきで水を汲んでいた地元のおじさんは、「この前もテレビをみてたら、名水百選の中でうちぬきが日本一に選ばれていたよ」と誇らしげに語った。

さて、今回はカヌーも持って来ていたものの、組立もせず、西条市内の名水散策に徹することに。西条市のホームページに掲載されている「西条市名水・銘木50選分布図」のコピーを手にいざスタート!

まず訪れたのが、「中西の清水」。ホームページに掲載されている、水草が青々と生い茂るその写真は美しく、最も興味を持っていた場所だ。

冬は条件が悪いだろうなと思いつつ、やっとの事で探し出した清水は、残念ながらすっかり水が枯れれていた。水草の生い茂るべき場所に立つはめに。

リンクの写真と比べてみて下さい

気を取り直して、「加茂川左岸うちぬき公園」へ。立派な公園を予想していたので、うっかり通り過ぎてしうほどこじんまりとした場所だった。広大な水田地帯の中に、土地改良事業の記念碑と並んで、うちぬきがあった。真っ直ぐに掘り抜かれた直径20pほどの穴、地底の奥底から、絶え間なく湧き出してくる。

先客が2名、一人はもう汲み終わったようで、車に腰掛け一服。もう一人は柄杓でポリタンクに水を汲み移しているところ。この人と話をしてみると、西条の人たちが、うちぬきを誇りに思っていることがひしひしと伝わる。速くこの水を飲んでみたい。

待つこと約五分、やっと我々の番となった。うちぬきの中にコップを差し入れぐいっとひとのみ。おいしい!まろやかで、実に口当たりが良い。温度もぬくからず、冷たすぎず。まさに非の打ち所がない名水中の名水。一杯、もう一杯と、立て続けに四杯、一気に飲み干してしまった。

一息ついたところで、持参したホースをうちぬきの中に差し込み、もう一方の口をやや低い位置に置き、思いっきり吸う。まるで水道につながれているかのように、ホースから勢い良く水が流れ出てくる。この水をタンクに受ける。今夜はおでんを作ろう。水割りもおいしいに決まっている。

うちぬきとの初対面ですっかり魅せられ興奮気味の我々は、次なる場所、嘉母神社手洗水へと進んだ。ここにもまた先客があった。50がらみの夫婦が、焼酎やお茶のペットボトル10数本に水を入れている。神社の手洗水という性格から、水量は少なく、うちぬき公園ほどの勢いはないが、流れ落ちる幾筋もの水の糸は、繊細そのもので、とても素敵だ。順番を待つ間、手洗い水の上に書かれている、「西条打抜音頭」に適当にメロディーをつけて歌ってみた。

 

 

初日の散策はここまでとし、市内で買い物を済ませ、河原のキャンプ地へ移動しテントを張った。ここは、近くにある伊曾野神社の神輿が川渡りをし、多くのだんじりが乱舞するという、秋の西条祭りの舞台となる場所だ。

 

 この場所で川渡りが繰り広げられる     雪を頂く石鎚山 枯れ木の近くでキャンプ                       

キャンプ地の少し下流にある歩行者専用の橋には、2組の鉄琴が埋め込まれている。右から渡るときは「さくらさくら」、左からは「ふるさと」を弾くことが出来る。歩きながらメロディーをとるのはなかなか難しいですヨ。

夜の冷え込みが予想されるので、たき火用の流木を集めた後、料理の準備にかかる。今夜のメニューは、かねて予定していたとおり おでん。大きな鍋にたくさんの具を入れ、とってもおいしいおでんのできあがり。

あまり早く寝るてしまうと、朝早く目が覚めてしまい、寒さに震えながら、夜明けを待つ、ということだけは何としても避けようなどと、つまらない話をしつつ、たき火とおでんで暖をとりながら夜は更け、11時30分テントに潜り込むことに。この時の気温は既に0度を下回ってた。

翌日は、観音水系淵の川水馬渕川と水車の渕を訪れてみた。しかし、ちゃんと見ることができたのは、観音水系のみ。人々の生活に密着した名水であることは解るのですが、案内板をもっと各所に設けるなど、もう少し工夫していただけると、他所から来たものにはありがたいのですが...。

 

  観音水系                     馬洗川 水車の渕

 

帰りに湯ノ谷温泉に立ち寄り、ひえた身体は、すっかりり暖まりました。

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