富士川 2011.7.16〜17

富士川は延長128キロ。山梨県と長野県の境に位置する鋸岳に源を発し、多くの支流を束ねながら甲府盆地を経て、富士山の西縁をたどるように南流し駿河湾に注ぎます。日本三大急流のひとつに数えられており、山梨県内では比較的穏やかだった流れが、静岡県に入ると様子を変え、しぶき飛び交うラフティングコースとなります。のんびり派の私たちは、決してホワイトウォーターエリアに紛れ込まないよう、キャンプ地とする稲子より下流には絶対に行かないという固い決意でツーリングをスタートさせようとしたのでした。

 

キャンプ地に到着    

富士川と稲子川の合流

北から流れ込む支流 稲子川

富士川本流

計画では、最初にキャンプ地に行き、主な荷物を降ろし十島まで車で移動。十島でカヌーを組み立てキャンプ地まで漕ぎ下ります。再び十島まで車を取りにいく手段として、くぼっちの折りたたみ式の自転車を用意しました。これまでにない趣向です。

昼食を済ませタープを張り自転車をスタンバイ。カヌーの服装に着替え、準備万端整いました。時刻は1時半。「いざ十島へ!」と胸躍らせて車に乗り込もうとしたところでハプニングが発生しました。背後で猛烈なエンジン音が轟いています。

川沿いの道路から川原へと通じる道は、細く狭くて所々急な斜面があります。私の頭の中でも「下りて来たはいいけどちゃんと戻れるだろうか」との不安が拭えません。そこに、鮎釣りの下見にと乗り入れてきたワンボックスカーが、急斜面にタイヤを捕られ身動きが出来なくなってしまいました。運転しているおじさんは、むきになってアクセルを思いっきり踏み込みバックのままあがろうと試みます。けれども、何度やっても道に大穴を開けるだけで埒が明きません。くぼっちと2人駆け寄って、車を下から押しますがまったく歯が立ちません。車をいったん下げ、方向変換して前から突っ込むも、坂を登りきることが出来ません。

もっと下まで軽トラで乗り入れていた地元のおじいさんが、鮎釣りを終え車であがってきましたが、行く手がふさがれていてはどうにもなりません。今度はおじいさんも加え3人で押しますが、やっぱりダメです。結局JAFを呼ぶことにし、到着までひたすらまたされることとなりました。時刻は既に3時を廻っており、カヌーをあきらめざるを得ない時間となってしまいました。

 

 

JAFを待つ間、おじいさんからいろんな話をききました。
「今年は雨が少なく水量が少ないので、鮎の育ちが悪く全然ダメだ」
「この川では、晴れてるからって油断してたらいけない。長野や山梨で雨が降ったら、あっという間に増水してしまう。気をつけなさい」
「東京から来たのか。多摩川も最近はきれいになったそうだな」
「田子の浦?そりゃぁきれいになったよ。政府からうまいことお金を引き出したんだ」

「ここは毎年車が立ち往生するんだ。俺のような4WDじゃないとダメだな。お前のは大丈夫か?」

 

気持ちを落ち着け野鳥の観察。ホオジロが元気にさえずります

 

ワンボックスカーが取り除かれた後、おじいさんが懸念したとおり、私の車まで砂にタイヤを捕られ立ち往生。大慌てしてしまいましたが、まだいてくれたおじいさんのアドバイスを聞きながら、ジャッキアップして何とか脱出。あぁしんどかった。目が眩む思いでした。

そうこうしているうちに日も暮れてきました。キャンプの時間です。

キャンプ    


霜降り肉だとこうなるのは分かってるんだけど・・・

気がつけば、くぼっちは椅子に座ったまま気持ちよさそうに寝入っているので、私もテントにもぐり込むことにしました。
おやすみなさい。

 

夜明け

3時半に目が覚めました。月明かりの下でコーヒーをいれ、夜が明けて辺りが次第に明るくなってゆくのをじっと眺めていました。
4時半ごろから鳥たちが一斉に鳴き始めました。鮮やかに響くウグイスの声に誘われるように、私はカメラを持ち歩き出しました。


ウグイスが元気に鳴きますが、朝日がさす前で
真っ黒にしか写りませんでした。

 

歩いて遡上

ラジオ体操を済ませてから、川に沿って歩いて遡上してみることにしました。昨日下る予定だったエリアの偵察です。蛇行して大きくせり出したあたりは採石所があり騒々しい印象でしたが、基本的には流れが緩やかで、距離は短いながらものんびり下れるところという印象です。見える範囲だけでは、ツーリングというよりは水遊びカヌーに近いかもしれません。まさに今回意図したとおりのコースでした。

 

 

1時間ちょっと。岩の上から飛び込んだりしながら、ゆっくりと歩いて廻りました。天気もよく爽快です。今日も暑くなりそうだ。

 

川原に咲く花  

 

稲子川でトンボウォッチング    


オナガサナエ


ハグロトンボ


ミヤマカワトンボ

 

午前11時半。荷物を片付け帰路に着きました。


苦しめられた細道よさらば

 


帰り道 富士市中野台にて

 

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