花模様

・・・料理コンクール入選作品より

 

1、「大地より愛をこめて」

 材料 (4人分)

*高野豆腐  4個
*詰め物
 鶏挽肉  80g
 長ネギ、タケノコ、にんじん、もどした干し椎茸
   (それぞれ、みじん切り) 各大さじ2
 ウズラの卵 1個
 砂糖 小さじ2
 塩 小さじ1/2
 酒 小さじ1
 ゆでてきざんだホウレンソウ  1/2束分
*煮汁
 だし汁 3カップ
 塩 小さじ1/2  
 しょうゆ  大さじ1
 砂糖  大さじ3


作り方

1.高野豆腐はお湯で戻して1個を4等分し、一片ずつ、ポケット状に包丁で切りこみをいれる。
2.詰め物の材料をまぜあわせ、高野豆腐の切りこみに詰める。その上半分を被うように、ゆでたホウレンソウをつめる。
3.煮汁を煮たてた中に2をいれ、中火で十分煮こむ。

熱々でも、冷やしてもおいしくて、このまま冷蔵庫で3日間保存できます。1個ずつぴっちりとラップして冷凍保存すれば1ヶ月大丈夫。食べるときは電子レンジにかけるか、煮汁を作った中に凍ったままいれて煮てください。お弁当には凍ったままいれると煮汁が出ないでお昼に自然解凍しています。

*******思い出********

 一九九四年七月八日、米国時間午後零時四十五分。
フロリダの抜けるような青空の下で、私は夫とバナナリバーに面した観覧席で、
消しゴムくらいの大きさに見えるロケット発射台をみつめていました。
強い紫外線から皮膚を守るために帽子やバーカーを着た人々が
気温三八℃湿度九〇%の中で、カウントダウンの掲示板に目をこらし、
英語、フランス語、日本語でざわついています。
掲示板が○になると、ドーンと大きな花火のような音がして
発射台から水蒸気の白煙が立ちのぼり、
オレンジ色の光の尾をつけたスペースシャトルが上へ上へとのぼっていくのが見えました。
「やったー!成功だー!」シャトルの後に白く白くのびるロケット雲。
隣のご夫婦が私に言いました。「高野豆腐、飛んで行きましたね」  
 そうです。そのスペースシャトルは向井千秋さんと、
公募で選ばれた和食の宇宙食一三品が搭載されていました。
私の高野豆腐料理「大地より愛をこめて」はコンクールで一位になり、
マルハ食品が宇宙食用にフリーズドライ加工して
NASAの検査の後、宇宙へ旅立ちました。
一位の賞品は、NASAの基地見学やシャトル発射台の観覧席のチケットを含んだフロリダ旅行。
15時間のフライトの末、ケネディ字宙センター近くのホテルヘ二歳の息子を抱いてやってきた私に
「小さな子をつれてょく来ましたね」と向井さんのお母様がやさしく迎えてくださいました。
 字宙開発史上初の、和食の宇宙食を公募で選ぶというのは、93年11月、読売新聞で知りました。
 当時息子は1歳で目が離せず、昼寝はしないで夜泣きをし
、実家は遠くて夫は不在がち、たった一人の育児で私は疲れ気味。
出産前は料理コンクールや食べ歩きに行ったり、
雑誌やTVの料理コーナーに出たり (出産一カ月前にも大阪のTV局に行っていた) していたのに
母親になったとたん家にこもりっきり。
宇宙食のコンクールは、作品を主催者が宇宙食用に加工してみて審査するので、
自分が実技審査に行かなくていいので応募したのです。
「フリーズドライ加工かレトルトにしたときでもおいしい料理」が審査の一つのポイント。
フリーズドライとはカップ麺のようにお湯でもどして食べる方法ですが食品によっては加工で食感がガタ落ちになります。
 市販のフリーズドライの離乳食で、青葉がフリーズドライでも色がきれいにもどることや、
肉のミンチや刻んだ野菜なら十分おいしいことを私は知っていたので、
日本の大地の恵み、タケノコ、ネギ、シイタケ、ニンジン、ホウレンソウと鶏のミンチをフリーズドライでもおいしい高野豆腐につめました。
宇宙では煮汁はシャトル内にとび散るので、スポンジ状の高野豆腐に煮汁を含ませればいいと思ったのです。
一切れで野菜も肉もとれ、タンバタ質とカルシウムもたっぶり。
味は外国人飛行士の試食でも高得点を得ることができました。
形がコンパクトなので暮れの料理やおせちにどうぞ。


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