天使と悪魔のビジネス用語辞典

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【多角化戦略】 diversification strategy
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●天使の辞典●────────────────────────────

〔1〕 現在の事業分野と関連性の少ない新しい分野に進出する戦略。
    自社の経営資源を使って新事業を起こす内部成長方式と、M&Aや連
   携によって他社の経営資源を利用する外部成長方式がある。

〔2〕 目的は、新たな収益源の確保、リスクの分散、余剰資源の有効活用。

〔3〕 アンゾフの多角化戦略
   水平的多角化:例えば、既存の顧客に新製品を販売
   垂直的多角化:例えば、小売業者が製造部門に進出
   集中型多角化:既存の製品や市場に関連性を持たせながら新分野に進出
   集成型多角化:既存の製品や市場に全く関連のない分野に進出

★悪魔の辞典★────────────────────────────

〔1〕 「積極的に事業の多角化を進めております」とは、「本業が頭打ちに
   なってきて、困っています」という意味。

〔2〕 「選択と集中を進めております」とは、「本業が儲からないので、あ
   ちこち手を出してみましたが、やっぱりダメでした」という意味。

〔3〕 日本を代表する石鹸メーカー「花王石鹸」は、石鹸以外の商品展開が
   進んだ。
    社名と事業内容が一致しなくなったため、「石鹸」を外し「花王」に
   社名変更した。
    日本を代表する石鹸メーカー「牛乳石鹸」も、石鹸以外の商品展開が
   進んだ。
    しかし、「石鹸」を外すと、余計に社名と事業内容が一致しなくなっ
   てしまう。

■世人の独言■────────────────────────────

 多角化戦略は、80年代にちょっとしたブームでした。
 事業発展のキーワードは「多角化」。
 本業だけに閉じこもっていては、もったいないという風潮でした。
 「業際化」という言葉も生まれました。
 それだけ日本経済には活気があったんですね。

 その時の多角化の目的は、余剰資源を利用した事業拡大でした。
 「本業が調子いいから、余勢を駆って更に会社を大きくしよう」
 というのが本音。

 バブル崩壊後、多角化の目的が変わりました。
 本業の先行きが不透明になり、リスク分散のための多角化です。
 「本業が調子悪くなったとしても、新事業でカバーすればいいさ」
 というわけ。

 平成不況が長期化するにしたがって、更に目的が変化。
 新たな収益力を確保するための多角化です。
 「本業がいよいよダメだ。早く儲かる商売を捜さなきゃ」
 という背水の陣。

 このように、多角化には、事業の拡大という積極的な側面と、本業不振の回
避という消極的な側面があります。

 多角化の進んだ企業として知られる、東芝、日立、松下電器。
 必ずしも、業績がよくありません。
 不況に強いはずの多角化が、却ってあだになったようです。

 事業の多角化によって、どのような経済状況になっても、常に高収益事業を
持つことができ、リスク分散が期待できるはず。
 しかし、このことは逆に、どんな経済状況でも、常に不振な事業を抱えると
いう別のリスクを負うことになるのです。
 このために、単独事業で好調な企業と、多角化の進んだ企業を比較すると、
大抵、多角化企業の方が収益力が低くなるといった現象が起きます。

 更に、経済全体がしぼんでいる現在、高収益であるはずの事業も思うように
利益が上げられません。
 こうなると、不採算事業が重くのしかかり、企業の存続を危うくしかねない
のです。

 いま、「選択と集中」が取りざたされるのには、こういう背景があります。

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